まだまだ、あこぎな業者がいる葬儀業界、遺族が落ち着く時間を作りたい--日本初・遺体用ホテルを開業したニチリョク・寺村久義社長に聞く
たとえば、当社が日本で初めて開発し、販売している堂内陵墓(※1)も、売り出してから1年近くはずっと暗中模索が続きました。(大都市圏で)お墓が足りないのはわかっていましたけど、堂内陵墓はこれまでにない、まったく新しいスタイルのお墓なので、どれだけ一般消費者に受け入れてもらえるか、わからなかった面もあります。
でもね、いいものは必ず消費者に受け入れられるという信念だけはありました。実際、認知度の向上とともに、東京圏の物件はあっという間に完売してしまいました。
今回だって、葬儀屋として、ご遺体を預かる場所があってもきれいな施設がない、故人に会いに来てもなかなか自由に面会できないという困ったことを改善したいと思っただけなんです。
■最近では通夜・葬儀をしない、「直葬」も珍しくなくなった
日本消費者協会の調査によれば、平均的な葬儀費用は約236万円と言われています。これは2年ほど前の数字ですが、こんな大金がお葬式にかかるというのです。
236万円なんて庶民にとっては何年もかかって貯金する額じゃないですか? 5年やそこら、いやもっとかかるかも知れませんよね。
そんな大金が必要となれば、自分の葬儀にそんなおカネをかける必要はないと思う人も出てくるでしょう。極論すれば葬儀なんてしなくともいいと。実際、最近では通夜・葬儀をしない「直葬」も増えてきています。
しかし、だからといって、本心は葬儀をしたくない訳じゃないと思うんです。遺族にしても、家族だけで懇ろというか、心を込めてお見送りしたいという気持ちは100%近くあると思う。そのようなお見送りができない理由のひとつは、できる施設がないからです。