まだまだ、あこぎな業者がいる葬儀業界、遺族が落ち着く時間を作りたい--日本初・遺体用ホテルを開業したニチリョク・寺村久義社長に聞く
だから心をこめてお見送りできる“施設”を作ればいいんじゃないかと。人間、死ぬときは畳の上で、自分の家で死にたいと思うのが当然でしょう。ところが今は、自宅で葬儀ができるところはそう多くありません。
葬儀は通常、斎場で執り行いますが、斎場は30坪、50坪、100坪が普通の大きさです。少人数で葬儀をするには、それらの斎場はあまりに広すぎる。自宅で葬儀を行う場合は10畳もあればいい。それならば自宅に代わる10畳間を用意すればいいと思ったのです。だから、ラステルには葬儀も行える10畳間大の部屋も4つ作りました。
しかし、直葬がスタンダードになったら葬儀業界は成り立たちません。なんとかその流れを食い止める必要もある。当社でもお墓や納骨堂、仏壇を販売していますが、それらは一家族にひとつあればいい。2つも必要ないわけです。
さらにお墓もあと10年か20年後にはピークを迎えてしまう。葬儀ビジネスの中でまだ伸びつつあるのがお葬式なので、お葬式をビジネスとしてきっちり抑えていく必要があるのです。
一方、葬儀業界には農協や生協、電鉄会社や流通業など、異業種から新規参入組がどんどん進出してきています。ですが当社はそういう新規参入者とコラボする気はまったくありません。
当社はあくまで独自の生き方をすると決めており、そのため独自の葬儀のあり方、やり方を考える必要がある。そのひとつの模索の道が、このラステルという訳です。
■予算100万円が300~400万円にもなる、本当にあこぎな業者はいるんです
最近は葬儀屋主導になっていましてね、自分の思った葬儀なんかできないことが多いんです。遺族というのは突然、訪れた身内の不幸にパニックに陥っているので、葬儀屋にお任せしますという方が多い。