永守重信「人の心をつかんでこそリーダーだ」

日本電産の創業者がいま世の中に訴えたいこと

日本電産創業者の永守重信氏(撮影:ヒラオカスタジオ)
永守重信氏が日本電産を創業したのは、1973年。自宅の六畳間で、わずか3人の従業員を前に、「〝兆円企業〟をめざす」「精密小型モータの分野で世界一になる」ことを宣言した。それからおよそ半世紀、日本電産はいまや世界に300を超えるグループ企業を擁し、従業員11万人を超える「世界一の総合モーターメーカー」に成長を遂げた。
そんな永守氏が2021年6月、創業以来絶え間なく勤めてきたCEO(最高経営責任者)を後進に譲り、11月には23年ぶりの書き下ろし著書である『成しとげる力』を出版した。いま、世の中に訴えたいことがたくさんあるという。永守氏が語る「最高の自分をつかむ」ための生き方、「悔いなき人生を歩む」ための知恵を、著書の中の言葉とともに一部抜粋、再構成してお届けする。

困難は〝解決策〟をつれてやってくる

人生とは、苦楽が交互に織りなす〝サインカーブ〟である。どんな人の人生でもよいことと悪いことは50対50になっており、多くの苦しみを経験したあとには、必ず大きな喜びがやってくる。

したがって困難や逆境の中にいるときこそが、飛躍のチャンスなのだ。だから、けっしてそこから逃げてはならない。どんなに強い逆風であろうと、敢然と向き合い、それを乗り越えていくことだ。

2008年、リーマンブラザーズの破綻に端を発する大恐慌が全世界を襲った。大きな危機感を感じた私は、図書館に向かった。「100年に一度の危機」だというなら、かつて世界を襲った世界大恐慌について調べてみようと思ったのだ。大恐慌をたくましく生き残った企業の実例をいくつか探しだし、成功の要因をさぐった。そして、目の前の危機に対処する独自の解決策を見出すことができ、多くの企業が軒並み赤字を計上するなか、当初の予想だった莫大な赤字を抑え、黒字を達成することができたのだ。

「困難は必ず解決策を連れてやってくる」という信念を私はもっている。だから、逃げずにその困難にしっかりと向き合い、解決策をつかみとることだ。

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