日本電産「満を持しての後継指名」で狙う躍進 日産出身の関社長がCEOに、永守氏は会長に専念

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日本電産のCEOに就任する関潤氏(左)と、創業者で現在会長兼CEOの永守重信氏(右)。写真は2020年2月の社長交代会見時(撮影:ヒラオカスタジオ)

長らく日本電産の最大のリスクとも言われてきた、創業者・永守重信会長兼CEO(最高経営責任者)の後継者問題に解決の光が見えてきた。

同社は4月22日に関潤社長COO(最高執行責任者)をCEOに昇格させる人事を発表した。永守氏は会長職に留任する。同日発表された決算も売上高1兆6180億円(前年同期比5.4%増)、営業利益1600億円(同47.4%増)と増収増益で、当初の会社予想も上回った。

関氏は新型コロナの感染拡大や米中対立など未曾有の外部環境下でも、日本電産の業績を成長させた。また日産自動車副COOの経歴もあり、今後日本電産の成長軸となる車載分野に詳しい。カリスマ経営者である永守氏から後継者に対する権限委譲が順調に進んでいることを印象づけた。

苦悩していた「後継者問題」が解決へ

「後継者問題を株主から言われ続け、解決しようとしてきた」。4月22日に開かれた同社のオンライン決算説明会の冒頭で、永守氏はまず今回の人事について語った。

日本電産は1973年の創業以来、創業者の永守氏が率いて急成長を遂げてきた。一方、有価証券報告書に記載される事業等リスクでは、ガバナンス上の課題の一つとして「NIDEC(日本電産)代表取締役会長である永守重信(氏)への依存に係るリスク」(2020年3月期有価証券報告書)が明記されるほど、後継者問題は深刻だった。

永守氏は関氏について「経営手法も(自分と)似ており、決断力や人格などもCEOの後継者としてふさわしい」と強調。そのうえで「会社のビジネスの内容も変わってきており、その分野の得意な人が集まって、会社を成長させていくことが大事」(永守氏)と、拡大する車載向けビジネスを関氏がいっそう成長させられるとして、CEOの後継に推す理由を説明した。

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