永守重信「人の心をつかんでこそリーダーだ」 日本電産の創業者がいま世の中に訴えたいこと

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どんなに隆盛を極めた事業でもピークアウトは必ず訪れる。したがって、中長期的な視点に立って次の一手を打つことが何よりも大事なのだ。

物事には、変えてはいけないものと変えていかなければならないものがある。変えてはいけないものとは、会社でいえば理念、社是、あるいは基本精神。こうしたものは、いわば土の下の根っこである。

求められる「知的ハードワーキング」

しかし一方で、土の上の枝葉はどんどん変えていかなければいかない。たとえば、その一つに労働時間がある。創業当初、実績も信用も人手も設備も資金もなかった私たちは、「人の倍の時間働く」ことしかライバルに追いつく術はなかった。この時代は「長時間労働」こそが「ハードワーキング」の定義だったのだ。

『成しとげる力』(サンマーク出版)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

しかし、いまはハードワーキングの定義もだいぶ違ったものになってきた。肝心なのは競争相手に勝てる仕事をしたかどうかである。つまり、結果がすべてだということだ。肉体ではなく頭脳をフル活用する「知的ハードワーキング」が求められるのだ。

私はいま、京都先端科学大学の理事長を務め、「人を育てること」に情熱を注いでいる。これからの乱世で大切なのは「自ら考えて、行動すること」である。型にはまらない「とんがり人材」が求められているのだ。

若い人には、まず「一番」になれるものを早く見つけてほしい。どんな人でも才能と実力をもっているはずである。それが見つかれば、自信をもって人生を歩んでいけるはずだ。そして「大ボラ」を吹いてほしい。旗を掲げて夢を叫ぶからこそ、「成しとげる力」を発揮することができるのだ。

永守 重信 日本電産会長 創業者、京都先端科学大学理事長

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ながもり しげのぶ / Shigenobu Nagamori

1944年京都生まれ。職業訓練大学校(現・職業能力開発総合大学校)電気科卒業。73年、28歳で従業員3名の日本電産株式会社を設立し、代表取締役社長に就任。80年代から国内外で積極的なM&A戦略を展開し、精密小型から超大型までのあらゆるモータとその周辺機器を網羅する「世界No.1のモーターメーカー」に育て上げた。代表取締役会長兼社長(CEO)、代表取締役会長(CEO)を経て、2021年より代表取締役会長。2014年、公益財団法人永守財団を設立、理事長に就任。また18年には京都先端科学大学を運営する学校法人永守学園理事長に就任。著書に『成しとげる力』(サンマーク出版)、『「人を動かす人」になれ!』(三笠書房)など。

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