「KPI設定なし」がビジネスに好循環を生む理由 「やりたいこと」を実現する余った時間の使い方

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効率性一辺倒ではない、「タイム・リッチ」な日々を送る秘訣とは何でしょうか(写真:kikuo/PIXTA)
ハーバード・ビジネススクールのアシスタントプロフェッサーにして、心理学者のアシュリー・ウィランズが書いた『TIME SMART(タイム・スマート)』。効率性一辺倒ではない、異色の時間術の本だ。「お金より時間が大事」「生産性向上はタイム・リッチ(時間的に裕福な状態)から」「まず、健康で幸福な生活を送る、その後、生産性・創造性が上がる」と説く。もちろん、心理学者だから、科学的な調査、統計データでその主張を裏付ける。
「内観する時間を日常の中に持つことで、迷いがなくなり意思決定の軸が育つ」と語るのは、通信業界でキャリアを積み、独立後は書家として、またプレゼンテーションクリエイターとして多くの企業で研修講師をつとめる前田鎌利氏だ。前田氏が本書の考察と、自身の念(おも)いを語った。前編に引き続いてお届けする。

オリンピック誘致のプレゼンを見て、退職、独立を決意

2013年9月7日の早朝、2020年のオリンピック招致のプレゼンテーションがありました。「お・も・て・な・し」のプレゼンが行われ、東京オリンピック・パラリンピックが決まった瞬間、私は背中を押された気がしたのです。

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元々、私は通信業界に入る前は、学校の先生になりたくて、東京学芸大学教育学部で書道を専攻していました。そして大学3年生の1995年1月17日に阪神・淡路大震災が起きます。

故郷である福井県から関西に進学していた同級生や、一緒に書道を学んでいる関西在住の学生も多数いましたが、1月17日を境に連絡が取れなくなったのです。

当時は今のように1人1台携帯電話を持っているような世の中ではありませんでした。「もし、携帯電話を持っていてくれたら、連絡が取れたのに。探しに行けたのに。安否が確認できたのに」。そんな思いが逡巡します。そのときに、教師になること、書家になることは、後でいくらでもできると思うようになったのです。

災害大国の日本で必要なことは、自分の安否を大切な人に知らせる手段を1人ひとりが持つことなのではないか。そんなことを考え、通信の道に進むことにしました。

その志を立ててから、通信業界に入り、1人1台の携帯電話を持つ時代が実現し、エリアが広がってどこに行ってもつながるような社会が実現しました。2011年に東日本大震災が発生し、携帯電話がつながらなくなるという事態に陥りましたが、急ピッチで復旧させて以前よりもさらにつながるようになっていきました。そして、2013年9月7日の東京オリンピック・パラリンピックが決まる日を迎えたのです。

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