「KPI設定なし」がビジネスに好循環を生む理由 「やりたいこと」を実現する余った時間の使い方

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「2020年に日本でオリンピック・パラリンピックが開催される」

ソフトバンクアカデミアで私が行ったプレゼンの1つに、教育や書を通じて、次の世代に日本文化の素晴らしさを伝えていくというものがありました。東日本大震災後にずっと考え続けた「次の世代へ伝えていくこと」が、東京オリンピック・パラリンピック招致のプレゼンによって開催が決まったその瞬間に、明確になったのです。

「時価総額200兆円を目指すソフトバンクの中でその一翼を担っていくよりも、自分にしかできないことをやろう。東京オリンピック・パラリンピックの開催は、海外から来る外国人の方々に日本の素晴らしさや文化を伝えることだけでなく、未来を担う日本の若い人たちにも、日本を知ってもらう大きな機会となるはず。だから日本の若い世代へ伝える機会にしよう」と。

背中を押された私は、その翌日の9月8日に退社することを上司に告げました。

KPIを一切設定しない理由

その後、2013年12月31日にソフトバンクを退社して、書家として独立しました。書道教室や日本文化の良さを教えるスクールを全国で展開し、700名を超える生徒さんたちが通ってくださるようになりました。

前田 鎌利(まえだ かまり)/書家・プレゼンテーションクリエイター。一般社団法人プレゼンテーション協会代表理事。株式会社固(かたまり)代表取締役。東京学芸大学教育学部書道科卒業後、17年にわたり通信事業に従事。2010年に第1期ソフトバンクアカデミアで1位を獲得。同社認定プレゼン講師を経て2013年に独立。一般社団法人継未-TUGUMI-を設立し、全国各地で書道をはじめとする日本文化の教室を展開。書家としてJリーグ「絶対突破」、JAXA「こうのとり」他多くの書を揮毫。また、ビジネススキルの講師として年間多数の企業研修・講演を行う。著者に『プレゼン資料のデザイン図鑑』『課長2.0』等がある(写真:著者提供)

また、ソフトバンクアカデミアで培ったプレゼンのスキルを、より多くの企業や学校現場で活用してもらうことでより多くの企業や個人の未来を実現してもらいたくて書籍の執筆、研修、講演などを行い、今では年間200カ所でお伝えするようになりました。

2018年には一般社団法人プレゼンテーション協会を設立し、2021年に全国高校生プレゼンテーション甲子園を開催できました。全国から409チームが参加する大きなイベントになり、若者が自分の主張を伝える場となっています。

これらの事業は、すべて自分が心の底からやりたいと思っていること。書家、経営者、教員などさまざまな顔で活動していると周りの方々からは「お休みあるんですか?」「お忙しいですね」などと言われることがあります。

実は皆様から思われている以上に、休みの日や家族との時間などもしっかりと確保しています。「タイム・リッチ」な日々を送ることができているのです。

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