「KPI設定なし」がビジネスに好循環を生む理由 「やりたいこと」を実現する余った時間の使い方

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海を見たから「海」と安直に書く場合もあれば、時には別の言葉を選ぶこともあります。水面がキラキラしていれば、「海」ではなく「輝」と書くかもしれません。あるいはそのきらめきから「未来」という言葉を想起するかもしれません。重要なのは、なぜ、このタイミングで私はその文字を選んだのか、なぜその言葉を書きたいのかについて自分の内側を観ることが大事なのです。

先ほど述べた通り、私が東京オリンピック・パラリンピックのプレゼンを見たときに、「自分が今、本当にやりたいことをやろう」と考えたこととまったく同じ。端から見るとオリンピックが決まった翌日に退職することを伝えるのは突拍子もないことかもしれませんが、絶えず自分と向き合い、考え、内観してきたからこそ、決断をして自分の未来をぐっと引き寄せたあの日の決断は、書く文字を決めるプロセスとまったく同じなのです。

つまり、私の意思決定の軸は、幼い頃から慣れ親しんできた書を通して培われていたものだったのです。

私にとっては書が内観する行為ですが、多くのビジネスパーソンの方々にも自分の内面を見つめる時間を習慣化していただきたいと思っています。私は、ソフトバンク在職中、本当に忙しいときでも、筆を持って書をコツコツ書き続けていました。それがあったからこそ、自分と向き合う時間を日常の中に持ち続けることができ、意思決定をする際にも迷いがなかったように思います。

言い換えると「タイム・リッチ」になるには、「いかに意思決定を行うか」とも言えるでしょう。

当方の書道教室に通っていらっしゃる生徒の中には、書を書くときに内観している方が多数いらっしゃいます。そのプロセスを行うことでビジネスが大きく転換して好循環となっていった方をたくさん見てきました。これは本当に嬉しいことです。

言語化したことを開示するプレゼンが重要

同様に、私が行っているプレゼン研修や講演などでは、「一番伝えたい人はだれか」「一番伝えたいことは何か」を1日1回考えようとお伝えしています。自分が考えたことを日々言語化するのです。

そして、言語化した事柄を自己開示する時間が非常に重要になります。自己開示の方法として私がビジネスの中で取り入れていたのはまさにプレゼンをしてもらうことでした。

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