やせた → 上司が優しくなった?! 幸せへの一歩は、外見磨きから

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バカにされなくなった

その頃に聞いたのが、冒頭の上司の発言だ。好きなことをダイエットに取り入れ、ランチタイムには電車で3駅移動して、秋葉原でウィンドーショッピング。機械や部品を見ていると空腹を感じず、歩きながら干し芋や大豆バーをかじるだけで満足できた。半年で14キロ、2年間で25キロの減量に成功した。

やせて、まず変わったのが上司の態度だ。バカにしたような言葉を掛けられなくなった。部下からは、「好きなことをして生き生きしている小林さんみたいになりたい」と言われた。減量の達成感から自信も得て、取引先とのコミュニケーションもうまくいくようになり、仕事の成績もアップした。現在は会社員の傍ら、日本ダイエット健康協会認定インストラクターの資格も取り、ダイエットの伝道師としても活躍している。人前で話すのも、もう怖くない。

「太っている人は、自己管理ができない、だらしない人というイメージで見られるし、腹のたるんだリーダーに人はついてこない。でもダイエットに成功すれば、周りの人からも信頼され、仕事も人生も変わります」

ジャケットの効能

前出の勝間さんは、著書で「キレイになる努力は費用対効果が高い」と語った。小林さんの例にもある通り、見た目の変化は、「キレイ」に限らずとも周囲の反応を変えるようだ。だが、その変化に戸惑うケースもある。

お笑いコンビ「パンクブーブー」の黒瀬純さん(39)は「モテたい」一心で見た目を磨いた。「オシャレに見えるから」と、服は重ね着に。あだ名は「重ね着の黒瀬」になった。見た目は人生を大きく変えた。きっかけは、NHK「爆笑オンエアバトル」で着た、青と白のストライプのジャケット。コンビニエンスストア「ローソン」の店員の服に似ていることから、「ローソンジャケット」とイジられ、テレビ出演の機会が増えた。番組からは「例のジャケットを着てきて」と頼まれるように。

「あれ? ローソンの店員さんですか?」

「ちがうわ!」

ツカミはバッチリ。たくさんの笑いもとれ、認知度も上がった。

だが、黒瀬さんは戸惑った。漫才の日本一を決める「M―1グランプリ」で優勝したあとも、期待されるのは見た目の面白さばかり。「見た目だけでなく、自分も変わらねば」と思った。

チャリティーオークションで、代名詞だったジャケットを売りに出した。同年に出演した「THE MANZAI 2011」では、ジャケットネタなしで優勝し、実力を証明した。

「実力を評価して頂いたいまも、見た目は重要だと思う。でも今は、清潔感に気をつけ、素の自分に近い状態でいる程度。重ね着を一枚一枚脱ぎ、素に戻っている感覚です」

(編集部・齋藤麻紀子、深澤友紀)

※AERA 2014年9月8日号
 

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