やせた → 上司が優しくなった?! 幸せへの一歩は、外見磨きから
スタッフの勧めもあり、出演を決めた。高カロリーの外食をやめ、野菜中心の食生活に。パソコン仕事は、ジョーバ(フィットネス機器)に乗りながら。体重は2年で5キロ、体脂肪は30%から22%に減った。ネイルや眉毛カットにもお金を使った。周囲の反応が変わった。
顕著だったのは、男性の反応だ。みな、急に優しくなった。男性陣に聞くと、太っている女性には威圧感があるらしい。小売店に入ると、店員も気軽に声をかけてくれるようになった。
「以前は、まず『この人は敵なのか、味方なのか』というフィルターで見られていた気がする。でも今は、それが外れ、最初から味方として受け入れられている気がするんです」
人間が伝達する情報の中で、話す言葉が占める割合は7%に過ぎないという。残り93%は、見た目などの「非言語」。埼玉県在住の会社員、小林一行さん(48)の場合、ダイエットによる見た目の変化が、上司や部下との関係まで変えた。
うつ病をきっかけに太り始め、人生をあきらめかけていたある日。ぽっこりと突き出た腹を見て、100キロ超の巨漢上司が言った。
「はっはっはー。お前も俺と同じだな」
あなたと一緒にされたくない──。ダイエットのスイッチが入った。
もともと人とコミュニケーションを取るのが苦手。コンピューターエンジニアとして機械を相手に働いていたが、転職した会社で管理職になり、部下や取引先との対人関係に悩んだ。上司からは「会社のがん」と言われ、うつ病になった。
睡眠導入剤を飲めば3時間は眠れるが、夜中に目が覚めると過食に走ってしまう。ファミリーパックのチョコレート300グラム、約1600キロカロリーを30分ほどで「完食」。気がついたときには体重が20キロも増えていた。
うつに加え、体形も変わりはて、人前に出るのが嫌になった。部下に対しても「太ったオヤジの言うことなんてどうせ聞いてもらえない」と卑屈になった。遺書を書いて自殺しようとしたことも。家族に止められ、どん底から抜け出そうとさまざまな本を読む中で、本田健さんの著書『「ライフワーク」で豊かに生きる』と出合った。
自分の好きだったことを思い出し、趣味のラジコン飛行機を再開した。夢中になって作っていると、甘いものを食べたい衝動にかられなくなった。