「医療従事者にワクチン義務化」の英国に潜む懸念 「コロナ再拡大の震源地にいる」欧州の苦悩

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イギリスでは医療従事者などへの3回目の接種も始まっている(写真:PA Images/アフロ)

欧州は今、新型コロナウイルスの感染再拡大に見舞われ、緩めた感染防止対策の引き締めに舵を切っている。世界保健機関(WHO)欧州地域事務局のハンス・クルーゲ事務局長は「われわれは再び(感染の)震源地にいる」と述べ、原因としてマスクや接触制限などの感染防止対策の緩和と、ワクチン接種が行き届いていないことを指摘した。

今、欧州の街を歩くと、多くの国々ではマスク着用者は少なく、コロナ前の日常に戻っている感は強い。イギリスのジョンソン首相は「感染者はいても重症化していない」と主張している。

だが、イギリスの直近1週間の平均新規感染者数は11月10日時点で3万3477人。10月のピーク時の7日間平均の4万7209人からは減少しているものの、今年8月以降、高止まりを続けている。このまま減少するかは専門家の間でも意見が分かれているが、急速な減少は望めないとの見方が強い。

この状況に国民医療サービス(NHS)の医療現場は、危機感をあらわにしている。イギリスではイングランドの医療従事者のワクチン未接種者が約10万人いると見られる。

ワクチン義務化で医療スタッフが不足する可能性

ジャビド保健相は11月9日、イングランドにあるNHS所属の病院で働く医療従事者に対して、ワクチン接種を義務づけると発表した。ジャビド氏は議会で、「NHSおよびソーシャルケア部門の医療従事者は、ワクチン接種が義務となる。NHSが受け持つ患者とそこで働く医療従事者ら、さらにはNHS自体を保護するのに役立つ」と訴えた。

保健省によると、NHSの最前線のスタッフの93%以上が最初のワクチン接種を受けており、90%が2回目の接種を終えているという。だが、イギリスのメディアは、ワクチン未接種の一部の医療従事者は退職する可能性もあり、医療スタッフ不足が深刻化する可能性があると指摘している。

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