「医療従事者にワクチン義務化」の英国に潜む懸念 「コロナ再拡大の震源地にいる」欧州の苦悩

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また11月8日から、フランス全土の39の県の小学校でマスク着用義務化を再度追加導入した。感染防止対策の学校でのマスク着用義務が解除されて3週間を経て、再度マスク着用を義務づける決定が下された。現場の教師たちは「マスクを持参させることは容易でない」と言っているが、感染防止対策の必要基準(5日間の新規感染者数が住民10万人あたり50人超)を、約40の県が超えたことが根拠になっている。

今回は小学校の健康プロトコルをレベル2に引き上げる県を追加する措置で、結果的に約57の県の小学校でマスク着用が義務化された。

健康プロトコルのレベル1(グリーンレベル)の内容は、授業は対面で行い、強化された換気と手洗い対策を維持する、閉鎖空間にいる中学生、高校生はマスクの着用が義務(小学校は義務づけられていない)、頻繁に触れる表面の消毒は1日1回行う、などだ。

それに対して、レベル2(イエローレベル)基準は、感染発生率が5日間で住民10万人あたり50人を超える場合に適用され、マスク着用義務、換気と手洗いに加え、徹底した消毒を行う。対面授業は可能だが、スポーツ活動は屋外のみで生徒同士が接触するスポーツは禁止となる。

ロックダウンは避けたい欧州各国

欧州各政府はワクチン接種が感染予防のカギを握る点では一致しており、その推進と合わせて、衛生パスやグリーンパスの適応範囲を広げ、打たない人の行動制限を行う構えを崩していない。

昨年来のコロナ禍で、何度かのロックダウン(都市封鎖)を断行してきた欧州諸国は、傷ついた経済回復を優先させるため、衛生パスをフル活用し、ロックダウンだけは避けたいとしている。

その一方、フランスなどは学校でのマスク着用を復活させ、大人数が集まる場所への人数の入場制限や人との距離、換気などについては引き続き徹底していく方針だ。それだけで今回の感染拡大を防げるか疑問視する声も聞こえるが、定められた感染の基準値の推移を見ながら迅速に対応する構えだ。

安部 雅延 国際ジャーナリスト(フランス在住)

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あべ まさのぶ / Masanobu Abe

パリを拠点にする国際ジャーナリスト。取材国は30か国を超える。日本で編集者、記者を経て渡仏。創立時の仏レンヌ大学大学院日仏経営センター顧問・講師。レンヌ国際ビジネススクールの講師を長年務め、異文化理解を講じる。日産、NECなど日系200社以上でグローバル人材育成を担当。

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