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43歳で「直木賞」どん底這った男が得た最高の天職 山周賞も!「テスカトリポカ」佐藤究の苦労人生

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  • 村田 らむ ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター
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2017年には編集者から『テスカトリポカ』のオーダーがあったという。

「『日本版の映画『ダークナイト』(クリストファー・ノーラン)みたい作品を書きませんか?』と編集者から提案されました。

最初は福岡を舞台にしようと思っていて、取材をしたんですがしっくりこなくて、結果的に神奈川県の川崎市を舞台にしました。

途中で骨折したこともあって、なかなか取材が思うようにはできなかったのですが、犯罪ジャーナリストの方に具体的な話を伺ったり、日本国内で死を感じられる場所に出向いて空気感を味わったりして仕上げました」

『テスカトリポカ』は実に3年半の歳月をかけて完成した。

佐藤さんは、一作にかなりの時間をかける、寡作な作家だ。

「『ゴルゴ13』のような気持ちで書いていますね。作品数が少ない分、一度外したら次はない。実際『ソードリッカー』の時に、一度外すとどうなるのか味わっていますし、緊張感はあります」

『テスカトリポカ』は結果的には、山本周五郎賞と直木三十五賞のダブル受賞という最高の形になった。

山本周五郎賞と直木三十五賞は同時に受賞できないというジンクスがあり、実に17年ぶりの史上2度目のダブル受賞になった。

賞を獲得した時はどのような感想だったのだろうか?

抜け出した「賞レースの地獄」

(写真:筆者撮影)

「直木賞を受賞できて、

『これで賞レースの地獄からは抜け出せたかな』

と思いました。小説というジャンルでは、編集者の思惑もありますし、自分に参加の意思がなくても賞レースに参加させられます。そのストレスから抜けられたというのは、大きいですね。

もちろん光栄だったんですけど、受賞後はインタビューや企画などが目白押しでものすごい忙しいんですね。今は翻訳版のための読み返しで忙しくて、ボロボロになってます。感情も希薄になってきました。

せっかく受賞できたのに、コロナ禍のせいで打ち上げもいっさいできなかったですし。なんか、ずっと罰ゲームを受けている感じです。

ただ、贈呈式後のパーティーもなかったので、学校が苦手だった落ちこぼれとしては、そこで諸先生方からの訓示を受けずにすんだのは、ちょっとだけほっとしましたけど(笑)。

次回作は調べはじめているのですが、まだ作業には入れていないですね。

とりあえず『テスカトリポカ』よりは短いスパンで完成させる予定です」

佐藤究さんの新作小説を心待ちにしたい。

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