「いい転職」できる人・できない人の決定的な違い 不安な時代に身につけたい「2つの会計的視点」

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たとえば仕事を覚える早さに関しては誰にも負けないとか、気配りの天才であるとか、機械のように正確無比な事務処理ができるといった人材で、採用されれば絶対に組織に貢献できる人であっても、履歴書が冴えない人は面接にすら進めないはずです。それは「のれん」の価値が低いからです。

「大事なのは仕事ができるかどうかだろう」という意見は至極真っ当です。しかし、のれんの価値が低い人が面接で「私は仕事ができます!」とアピールしたところでまったく信憑性がありません。むしろ採用担当者は「そんなに仕事ができるなら出世するなり、有名企業に引き抜かれるなりして、履歴書がもう少し華々しくなっているはずでは?」と思うのが自然です。

ビジネスパーソンにとって「のれん」の最たる例が最終学歴です。「あいつ東大卒のくせに使えないな」「あいつMBAとっているわりに数字に弱いな」といった類の陰口はどんな会社でもよくあることですが、それはあくまでも一定期間、一緒に働いたあとに下される評価の話。その人がいざ転職市場に出れば「東大」「MBA」といったブランド価値がその人の評価を底上げすることは間違いありません。

「経験」と「フォロワー」が価値を持つワケ

学歴以外に関しては、何が自分ののれんの価値をあげるのかは希望する職種、業界などによってさまざまです。資格や人脈は、これまでもプラスののれんとして語られてきましたが、令和ならではの新たな価値も生まれています。

その1つが「経験」というのれんです。今の世の中はあらゆるものがコモディティ化しており、ビジネスマンにとっては差別化が1つのテーマになっています。そういった意味では“異色の経歴”に代表される、さまざまなバックボーンや経験を持った人材というのは評価されやすいと言えます。

特定の分野で長年勤めることが「よし」とされた時代もありましたが、そのやり方も限界がきており、新たな気づきやイノベーションを求める流れが加速しています。その1つが「かけ算の発想」です。会計士×IT、弁護士×YouTuber、中卒ヤンキー×経営者、お笑い芸人×高学歴、女性×寿司職人など、これまでの経験を異色に掛け合わせていく発想も有効です。

元阪神のプロ野球選手が公認会計士になった例もあります。この方は現にあらゆる企業のイベントや研修講師に引っぱりだこなのですが、これまでは職人のようにただひたすら監査を極めるのが美徳とされた会計士の職業像からすれば、異色の経歴でのれんの価値を高めたと言えます。

さらに、いま無視できないのれんと言えば、「フォロワー」です。SNSフォロワーが1万人以上とか、YouTubeの登録数が1万など、個人についているフォロワーの数が武器になります。もし広報系の企業であれば「この人はすでに販売ルートを持っている」「何か人を引きつける魅力があるのでは」と評価に加算してくれるはずです。

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