ヤクルト高津臣吾監督「緊張感は嫌いじゃない」 短期決戦となるCS戦や日本シリーズに向けて
――21日の広島戦では塩見泰隆選手の手痛いエラーからの逆転負けを喫し、23日の巨人戦では先発の石川雅規投手が、プロ最短となる1/3でKOされ、いずれも11失点でイヤなムードの中での敗戦となりました。監督自身は、それでも平常心を保てていましたか?
高津 塩見の後逸や石川のKOというのは、チームにとっては大きな問題かもしれないけど、僕の中では「それも実力だ」という割り切りはありました。起こってしまったことを悔やむよりは「その後、どうやってゲームを立て直すか」「どうやって1点を取るか」という意識の方が強かったです。
今日勝って「まずはマジック1にする」
――さて、マジック2で迎えた10月26日ですが、この日、ヤクルトが横浜に勝って、阪神が敗れるか、引き分けで、ヤクルトの優勝が決まるという状況でした。この日の心境を教えていただけますか?
高津 さっきも言ったように、この日もタイガースが負けるとは思っていませんでした。だから、「まずは目の前のベイスターズに勝って、マジックを1にするんだ」という思いでしたね。試合途中に、甲子園の阪神対中日戦の途中経過は入ってきて、阪神がリードされていることは知っていたけど、それでもあまり気にしていなかったです。この日は「うちが勝って、阪神が負けて優勝を決めるんだ」という思いはこれっぽっちもなくて、「今日勝って、まずはマジック1にするぞ」の思いだけでした。
――まずはヤクルトが勝利して、マジック1に。そのまま横浜スタジアムに待機して、甲子園の試合の行方を見守ることとなりました。ベンチ裏でテレビ中継をご覧になっていた心境はいかがでしたか?
高津 試合後、監督室でコーチたちと一緒にテレビ中継を見ていました。見始めたのが9回裏、阪神の最後の攻撃辺りからで、中日のマウンドにライデル・マルチネスが上がったところからでした。このときは、中日が4対0でリードしていたので、「このまま終わってくれ」という心境でしたね。
――中日・マルチネス投手が1つずつアウトを取っていく間、もちろん中日の応援をしながら見ていたわけですよね。
高津 そうですね。ショートの根尾(昂)選手がゴロを上手にさばいている姿を見て、コーチたちも手を叩いて喜んでいましたね(笑)。
――そして、ついに歓喜の瞬間を迎えます。この時点ではすでに三塁側ベンチに待機して、胴上げの準備もできていました。優勝が決まった瞬間、瞳が潤んでいるようにも見えました。感極まる思いもあったのでは?
高津 もちろん、ウルッとはきました。でも、僕は昔から「絶対に泣かない」と決めているんで、「泣いちゃいかん」という自分もいましたね(笑)。決して醒めているわけじゃなくて、嬉しくて仕方ないんだけど、割と冷静にその瞬間を迎え、冷静に胴上げに臨めたと思います。
――現役時代から「泣くまい」と決めていたんですか?
高津 そうです。「嬉し泣きはこれで終わりにしよう」と決めたきっかけがあるんです。