安倍政権の「地方創生」という、怪しい政策 補助金のばらまきは、ロクな結果を生まない

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そして、それに対する処方箋と言うのが、東京への一極集中を分散させて、さらに「希望出生率」なる目標数値を設け、それを目指して「産めよ増やせよ」、という話だというのですから、心底呆れてしまいました。こんなくだらない提言に予算が付くという話になれば、それは世界の笑いものでしょうが、これが安倍政権の基本政策になるというのですから、世も末です。

都市への一極集中は、世界的な現象

そもそも東京に一極集中するような都市化というのは世界的な現象で、日本特有のものではありません。文化の成熟度が高まれば高まるほど、その高い文化水準を求めて集まる者が増えて、それによる消費が社会を支えると言うのが現代経済学におけるABCのAです。だからこそ、財務省は消費税にこだわったわけです。その流れを断ち切って、30年来続いている都市流入と言う現象を、政府が一体どうやって止めると言うのか。強制移住でもすると言うのでしょうか?

現実的に考えていかないと、本当に基本的なインフラさえ提供できない都市だらけになってしまう。そんなことに時間を費やしていたら、地方自治体という行政区画は維持されますが、そこに住んでいる人はすべて見捨てられるという本末転倒なことになってしまうでしょう。

行政区画にとらわれずに、その地域の広域サービスを維持するという発想がなければ、何も解決しないのは明らかです。まして、希望出生率なる目標を掲げるなんて、それを掲げればみんながそれを達成するべく子供を産むと思っているのでしょうか? 出生率が低い原因は、所得が足りないからにすぎません。

十分な所得がないからこそ、子供を作るという選択に迷いがあるわけであって、他に原因はない。しかし、まさに子供を産む可能性のある若年層を直撃する消費税を10%まで増税するということまで決まってしまっているわけで、やっていることは、支離滅裂もいいところです。

もっとおかしいのは地方人口を増やす起爆剤として、様々な技術や知識を有するいわゆる「高度人材」の海外からの受け入れを推進するというのですが、こんな人材は、それこそ世界中で奪い合いになっています。日本の若者でさえ見捨てる地方都市に、一体どうしたらこういう人材が来ると言えるのか?その妙な自信が意味不明です。むしろ日本人の高度人材が更に日本から流出する危機があり、それを引き留めるのかどうかの方が、はるかに優先順位が高い問題のように思えます。

政府の累積赤字が1000兆円を超えるか否か、と言い、「税と社会保障の一体化」といいつつ消費税を上げ、それをこういう意味不明の無駄なばらまきに投入する政府にそろそろ「NO!」を突き付けねばなりません。納税者として行動を起こす時ではないでしょうか。

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