女子野球がゆるやかな上下関係を大切にする理由 履正社高の橘田恵監督が語る日本野球の課題

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女子侍ジャパン、橘田恵監督の国際大会の戦績
〇2017年9月
第1回 BFA 女子野球アジアカップ(香港)
韓国0-11日本
日本6-1台湾
パキスタン0-17日本
日本2-0香港
日本17-0インド
・日本優勝
〇2018年8月
第8回 WBSC 女子野球ワールドカップ(アメリカ・フロリダ)
日本8-0ドミニカ共和国
香港0-23日本
日本2-1カナダ
キューバ1-4日本
日本5-1オーストラリア
日本3-0アメリカ
日本2-1台湾
日本10-0ベネズエラ
日本6-0台湾
・日本優勝

「日本の野球は面白くない」と言われる

14戦全勝、相手チームに1点以上は許さない完勝。しかし橘田は喜ぶというより「胸をなでおろす」心境だったという。

それ以上に重視したのが国際大会での「野球に向き合う姿勢」だった。

「私は世界野球ソフトボール連盟(WBSC)の技術委員をしていたので、国際大会に何度も行きましたが、海外の関係者から“日本の野球は面白くない”と何度か言われました。打者には“待て、待て、待て”とサインを送り、四球で歩く。そしてバント。10点差でも盗塁。“お前たちの野球は面白くない”と。日本人としては大変悔しかったし、勝つだけではだめなんだと思いました」

日本野球が世界からどう見られているか、は、男女問わず国際大会に出場した指導者が直面する問題だ。

「日本野球の常套手段であるバントは、外国では嫌われます。自分を犠牲にして走者を進めるなんて、という感じです。でも、イチロー選手のバントヒットは自分も生きるための技術です。だとすれば、日本も技術的に高いレベルのバントを見せれば、絶賛されるはずです。その部分が誤解されています。中途半端なところを見せるのではなく、日本独自の技術の高さを見せつけるような野球をしないといけません。

それから、相手をリスペクトすることも大事です。アジア大会のときに友人のパキスタン代表の監督に、“君たちのボールを見極める粘っこい野球をされたら、投げる投手がいなくなる。頼むからそういう野球はやめてくれ。投手を1日で3人も4人も使ってしまったら、大会を乗り切れない”と言われました。

その監督は、手を抜いてくれ、とも、負けてくれ、ともいっているわけではありません。でも、明らかな実力差があるのだから、それなりの野球をしてくれということなんです。だから、アジア大会では“初球から打っていけ”と言いました。国によっては盗塁やエンドランもしませんでした。そうしたら香港戦は2-0になってしまって大変でしたが」

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