橘田のこの経験は、男女問わず今の日本野球が抱えている深刻な問題の照り返しでもある。
「日本野球は『勝利至上主義』でずっとやってきました。フライが上がったら相手チームに“落とす”というような発声をしてしまう野球をしてきました。そうではなくて相手がいいプレーをしたら拍手すればいい。“ナイスキャッチ”と言えるような野球がしたいんです。
選手たちは、私のことをとんとん拍子で代表監督になったように思っているかもしれないですが、私は男子のチームでずっと試合に出られず、補欠でした。男子の中で絶対的な差を感じながら、野球を続けてきました。
その経験があるから、補欠の気持ちもわかります。補欠でも頑張れる環境にしたい、選手にはできるだけ多く試合出場の機会を与えたい。1人でも多く試合に出したい、みんなを野球好きにしたい。そうじゃないと学校教育としても野球がうまくいかないと思います」
「一生忘れない夏」になった
この夏、全国高等学校女子硬式野球選手権大会の決勝戦は、甲子園で行うことになった。各校は憧れの舞台を目指して奮い立った。橘田が率いる履正社高も、代表校として出場したが、7月29日の3回戦で横浜隼人高に敗れ、甲子園出場はならなかった。
「2021年夏、女子野球としても歴史的な『決勝 甲子園』という新たな時代の幕開けの年。そのような年にたくさんの女子選手たちと一緒に大好きな野球をでき、さらには甲子園を目指すという経験ができた。
その年に生きてグラウンドに立てたことが何よりもうれしかったし、とにかく感謝でした。結果としてはとても悔しい夏でしたが、一生忘れない夏にもなりました。このような機会を与えてくださった関係者の方々、また先人の方々の今までの積み重ね、それぞれに感謝を忘れることなく、グラウンドでは選手たちと一緒に女子野球のよさ・楽しさを伝えていけるようにより一層努力していきたいです」
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