広瀬道貞・日本民間放送連盟会長--テレビ広告が不要になることはない、テレビの存在価値は高まる
■主導権はテレビが握る “中抜き”はありえない
--テレビと敵対はしない、と。
そう。今はビデオ・オンデマンドが先行しているが、これはパソコンでの通信の話。地上波をアイパッドで受信できるようになるのは時間の問題。テレビは家で見るものだと思うが、持って回れれば便利なことは間違いない。CMも見てもらえるだろう。
問題はそれ以上の価値を付けられるかどうか。テレビを見られる端末が増え、テレビの影響力が今より大きくなっても、それを理由に広告料がすぐに上がるとは思わない。独自の展開を考える必要がある。
--プラットフォームのアップルに主導権を握られる恐怖感は?
ネット上にプラットフォームを作るのは難しいことではない。テレビ局は必要があれば他社のプラットフォームを利用するし、自分たちが中心で運営したいと思えば、自前で作ればいい。本当に難しいのは、ユーチューブのように大きなサイトを自分で持って、動画が何本やってきても大丈夫という態勢を整える場合だが、それはネットワーク企業であって、テレビとは違う。
--番組制作会社がテレビ局を通さずに番組を配信する、“中抜き”が起こる可能性はないでしょうか。
それは起こらないだろう。ドラマであれば、脚本家とテレビ局の間には、長年積み重ねてきた強固な関係がある。そう簡単には揺るがない。