日本人が気づかない「失敗するキャリア」最大理由 「ライフシフト2」は「出口の明るい希望の書」だ
最近、家電量販店のノジマが、定年を廃止して80歳を超えても働けるという制度を発表して話題になりました。その一方で、50歳以下の早期退職のニュースも話題に上ります。これまでのキャリアが非常に揺らいでいるのです。
このときに、長期的な時間軸で、ポジティブに行動戦略を考える必要性を、本書はより明確に日本人に届けてくれています。
「ソーシャル・パイオニア」として戦略設計を
前作から今作に通底しているのは、お金や不動産などの「有形資産」ではなく、健康やコミュニティなど「無形資産」にフォーカスする必要性です。
僕はここにヒントを得て、『プロティアン 70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術』を書き、「キャリア資本」という概念を紹介しました。
今後の日本では、企業におけるDX(デジタル・トランスフォーメーション)と、それを駆動させるための個人のCX(キャリア・トランスフォーメーション)が肝になると考えています。
『ライフ・シフト2』でも「DXやAIなどの技術変化は、人類に悲劇をもたらすのか?」という問いが立てられています。
これに対する答えとして、著者たちが打ち出しているのが、「社会的開拓者(ソーシャル・パイオニア)」という概念です。
パイオニアという概念には、先駆者的で特権的なイメージがありますが、本書ではそうではなく、日常の行動戦略をしっかり練り込み、創意工夫することで、誰もがパイオニアになれるというメッセージが込められています。
ポイントは、いかに長く、サステイナブルな生産性を保持するかにあります。たとえば、55歳で主要ポストから外れ、60歳で定年、再雇用という形を前提にすると、受け身のキャリア形成になっていきます。
しかし、本書で提唱されているのは、自分のキャリアを長く設計することで、それがある種のセーフティーネットとなっていく、という考え方です。
年金不安がささやかれていますが、しっかりとしたキャリアを形成することが実は安心の「年金」として機能してくれるのではないかと思います。
そのためには、自身の持つスキルをアップデートし続け、長寿の配当を受け取ることを念頭に置いて人生を生きていかなければなりません。
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