日本人が気づかない「失敗するキャリア」最大理由 「ライフシフト2」は「出口の明るい希望の書」だ

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これまでのキャリア論は、過去のキャリアの棚卸ししかしていませんでした。しかしやはり、企業戦略と同じように、個人のキャリアも、未来について3年後、5年後、10年後と具体的に考える必要があります。

仕事や年齢に対する認識は変える必要があるでしょう。そもそも、キャリアは流動性があっていいものです。流動性というと、すぐ「辞めて、転職」と考えがちですが、それは表面的です。流動性とは、自分の仕事に対する、あるいはさまざまな関係性に対する、向き合い方の柔軟性のことです。

日本では、キャリアの流動性というと、「組織の課題」と捉えられがちですが、流動性を高めていくのは、個人の覚悟です。より豊かに人生を謳歌し、何歳からでも新しいチャレンジをするということは、実は誰にでもできることなのです。

時間に対する認識を変えよう

日本社会は、年齢に対するアンコンシャス・バイアスが強すぎます。例えば日本では、最初に出会ったときに年齢を聞くことがありますが、欧米ではそれは失礼な行為であり、ありえないことです。

年齢を聞くという行為は、高度経済成長を支えてきた日本型雇用の縮図でした。新卒一括採用のために、22歳からキャリアがスタートするという前提があり、年齢を聞けば、相手が何年目のキャリアなのか、自分よりも上なのか下なのかがわかります。年齢によって無意識のうちに、相手のキャリア=社内ポジションをジャッジするという心理があるわけです。

しかしそもそも、生物学的年齢を基準にキャリアを評価することが間違いです。企業側もそれに気がついてきていて、定年廃止や年功序列の廃止という議論へとつながっています。

時間に対する認識も変えなければなりません。

たとえば、大谷翔平、本田圭佑、中田英寿などの活躍者を見てみると、彼らが決して一芸で活躍しているのではなく、明確な行動戦略があることがわかります。

大谷選手や中田選手は、海外に行くために、高校から英語やイタリア語を学んでいたと言います、本田選手は、活躍しながら言語を学ぶために、あえて違う言語圏のチームを選んで所属しているというほどです。

これは、特別な、選ばれた人だけの話ではありません。キャリア形成のためのスキル習得には時間がかかるので、きちんと計画を立てることが重要なのです。時間の過ごし方を意識することで、誰でも、今日からでも、新しいキャリアに向き合うことができます。

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