鬼滅や呪術廻戦がツイートされまくる事の重み キャラクターと貨幣の類似性はどこにあるのか

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この図において2019年と2020年の切り立った山が『鬼滅の刃』である。アニメからマンガ、ゲーム、リアルコラボとユーザーの興味が展開され、毎日10万人単位のツイートが続いた。あれだけ話題になった『進撃の巨人』のピークよりはるかに高いことを考えると、改めてその威力の大きさに震撼する。

ここで注目に値するのは『鬼滅の刃』が生まれた後、連鎖的にこうしたバズが生まれやすくなっている点である。2020年5月から勢いづくのは同じアニプレックス作品のゲームアプリでディズニーと共同開発された女性向けコンテンツ『ツイステッドワンダーランド(ツイステ)』である。2020年5月には平均5万/日を超えている。

交換の面白さに目覚めた人たちの「祭り」

そして『鬼滅の刃』の後釜に座るような形になったのが『呪術廻戦』である。2018年3月〜20年9月までは1万/日以下で、それなりに人気だがトップにはなりきれていないコンテンツの1つであった。だが最高の盛り上がりをみせた鬼滅の「祭り」のあとに、熱狂さめやらぬファンたちが次の「祭り」コンテンツを探し始め、急激に呪術のツイートが増えていく。21年1月の平均54573/日から3月の平均84954/日へと、どんどん巻き込むファンを増やしていく。

こうした呪術のヒットが2020年10月から21年3月までのテレビアニメ化によって生み出されたものであることは間違いない。だが、それだけでは説明がつかないのは、そのテレビアニメの放映が終わった後も、21年5月は10万/日を超えるツイートがあり、成長が止まらなかった点である。

人々は「鬼滅ロス」から立ち直れていないのである。あれだけ楽しんだ祭りをもう一度味わいたい。酒場も映画館も空いていないこのタイミングに、何でもよいからもう1つ祭りになるものがほしい。「アニメをみながら皆でツイッター上で盛り上がる」という祭りの面白さに目覚めてしまっただけに、『呪術廻戦』を「使って」交換作業の快感を希求したのである。そして『ウマ娘』のヒットに続いていく。

貨幣を初めて使い始めた人類は、貨幣を交換すること自体の面白さに目覚めて、それらしい交換財で代替するようなことが起きる。これは仮想通貨が、ビットコインのみならず、アルトコイン(代替コイン)としてイーサリアムやバイナンスコインに派生していく現象と同じである。

次ページデジタルな交換財を求めて2次元キャラに殺到
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