鬼滅や呪術廻戦がツイートされまくる事の重み キャラクターと貨幣の類似性はどこにあるのか

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キャラクターという媒体の価値と死とは?(画像:アニメ「鬼滅の刃」公式ポータルサイト、TVアニメ「呪術廻戦」公式サイト)
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アニメやゲームのキャラクターは「貨幣」に似て、交換されることに価値があり、交換されなくなると死ぬ――。エンタメ社会学者の中山淳雄氏による新著『推しエコノミー 「仮想一等地」が変えるエンタメの未来』より、第4章「推しエコノミーの確立へ」の一部を抜粋・再構成してお届けします。

キャラクターは海外プレゼンの鉄板ネタ

海外でプレゼンを行うとき、エンタメ産業の歴史や効果について話すとき、鉄板ネタがある。キャラクターの絵を使うのである。まじめなプレゼンの場であればあるほど、一発で笑みがこぼれる。誰もが知っているあのキャラクターの象形と、そのキャラクターのゲームや玩具で遊んだ瞬間を話したときに、それを「共通体験」としてコミュニケーションをスムーズに行うことができる。

これは欧米や東南アジアはもとより、メキシコでもヨルダンでもケニアでもまったく同じだった。アニメ・マンガのキャラクターは、トヨタの車を超える波及力をもって、「=JAPAN」のイメージを伴って伝わってくれている。

キャラや世界観を交換し合うことで人は人と結びあう。それは『ポケモン』だって『鬼滅の刃』だってよい。キャラクターごとにどれだけ所属集団の範囲を広げるか、限定するかによって、相手の選択と距離の縮め方は変わってくる。

広ければ広いほどいいわけではない。女性だけをセグメント化してくれるキャラのほうが大事なときもある。『刀剣乱舞』や『テニスの王子様』の舞台にいけば100人中95人が女性だし、彼女たちはその体験を共有しあうことで、女性同士というカテゴリーの中で人との距離を縮めることができる。

貨幣がうまれたとき、ヒトは膨大な数の取引を簡略化するために貨幣を用いた。キャラクターも貨幣と同じ「代替品」である。

長く保存することができ、簡単に同じものは作れず(偽造できず)、取り扱いが便利なモノ。それがキャラクター(貨幣)である。

人々の頭の中のアイコンでしかないキャラクターは、さしずめ貨幣のようなものだ。文化のない無人島に行くと無用の長物だろう。何も買えないし、何ももたらしてくれない。

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