鬼滅や呪術廻戦がツイートされまくる事の重み キャラクターと貨幣の類似性はどこにあるのか

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だが貨幣と同様、そこに集団があり、会話の交換のなかでキャラクターへの言及があればあるほど、その実態はありありと人々の空想のなかで共通イメージを持つようになる。主人公とその周辺の仲間、世界観、それらへの理解が深まれば深まるほど、より多くの人を巻き込んで、その作品について語りたくなる。

人々の間で交換されないと死ぬ

つまるところ、キャラクターとは「運動体」なのである。人々の会話の交換作用のなかで動き続けるから価値をもつのであり、動きが止まった瞬間、価値はゼロになる。動いていることこそがライブコンテンツとしてのキャラクターの価値である。

ツイッターで一度もつぶやかれることのないキャラクターにどんな価値があるのだろうか。誰からも忘れられないようにキャラクターたちは死に物狂いで戦っている。少しでもバズになるように、定期的にコメントや画像・動画をアップする。人々の口にのぼるように、必死でアピールを繰り返す。たゆまぬ運動なくして、キャラクターがブランドとして価値をたもつことはない。

エンタメ会社はこうした「運営」を通すことで、交換財としてのキャラクターが人々の口をついてトランザクション(交換行為)されているかどうかに注目し、それを引き起こすような商品展開を続けるのである。

次の図は、ツイッターにおいてそれぞれのキャラクターや作品が「毎日平均何回ツイートされているかの月平均推移」をたどった数字である。

(外部配信先では図表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

(出所)『推しエコノミー 「仮想一等地」が変えるエンタメの未来』(日経BP)

日本のキャラクターで最も認知度&好感度が高いのが『ドラえもん』である。認知度98%、好感度70.9%(『CharaBiz DATA』キャラクター・データバンク)は数百あるキャラクターランキングでもダントツトップである。そんなドラえもんでも「毎日」となると、5000程度/日のつぶやきに留まる。

ただこの『ドラえもん』が、毎年定期的に話題にのぼる時期がある。毎年の劇場版映画の公開月である3月に決まってコラボやネタでツイッターがあふれかえる。毎年この時期だけは平常月の2〜20 倍つぶやきが増え、「貨幣として激しく交換作業が行われている」状態となる。

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