一流になる人、二流にとどまる人の決定的な違い 佐渡島庸平×澤円「仕事には「型」がある」
――長く継続する中で、何度かヒットを飛ばしたり、ホームランを放ったりしていく。
澤:間違いないなく、その意識は大切ですよ。それに、「型」を持っているとスランプに強くなるメリットがあります。
僕は格闘技をよく見るのですが、「天才」「無敵」と言われていた選手の中に、一度負けたことが引き金となって、負け続けるようになった選手がいました。
その人は、持って生まれた才能もあって、偶然の成功体験を積み重ね、勝ち続けていたんです。それゆえ、「なぜ、自分が強いのか」を理屈で理解できていなかった。
さっき美しいコードについて話しましたが、それと同じです。型なしだから、一回の失敗が致命傷になってしまったんです。
フィードバックをもらって「型」を身につける
――型がないから、どう立て直していいのか分からなくなってしまったんですね。
佐渡島:今までの話を踏まえると、早くから成功するのが必ずしもいいこととは言えなそうですよね。
先輩たちに仕事を教えてもらって、失敗したときは周囲からたくさんフィードバックをもらえる状況だと「型」を身に付けやすい。
澤:僕は、昔は相当なポンコツエンジニアだったんですけど(笑)、その時代があって本当によかったと思っています。
できないことだらけだったから、できる人の仕事を真似してできるようになるしかなかったし、何をどうやったらこれができるようになった、と一つ一つ説明できるようになったので。
佐渡島:実は、そっちの方がいきなり成功してうぬぼれてしまうより、ずっといいですね。
若くして成功した人って、周囲の人が「指導してあげよう」って思ってくれなくなるんですよ。その分、フィードバックも得にくくて、学びの機会がずっと減ってしまう。
澤:「自分が優れた存在ではない」と知らないと、努力するためのエンジンがかからないんですよね。
ちなみに、僕はマイクロソフトに入社したばかりの頃、自分の優れていなさが底辺過ぎて、地獄の沼を泳いでいるような感覚でしたよ(笑)
でも、できる人の仕事から学び、ジタバタもがいているうちに、あるプロジェクトを何とかカタチにできて。それが、新聞にも載るような大きな成果になりました。
運でも才能でもないから、どうして自分が成功したのが全て説明がつく。これ以降もずっと、成功するために必要なプロセスを全て語れる状態にしてきたことが、僕の強みになっています。