パナソニック社員が「スナック」で語り合った夜 新たな形でコミュニケーション促進にトライ

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「印象的だったのが、相談後、いただいたメールに『大丈夫、きっとうまくいきますよ』という一言があったんです。こういう、いわば根拠のない一言はわれわれ、特にメーカーの技術者は言わない。でも言われたほうは、なんとなく気分が落ち着いたり、『もしかしたらうまくいくかも』と思えたりしますよね。人の気持ちに寄り添うコミュニケーションはスナックのママならではだと勉強になりました」(福井氏)

実際に35人がスナックを「訪問」

今回のイベントでは、「オンラインスナック横丁」に参加するママ6人がパナソニックの社員たちをもてなした(写真:オンラインスナック横丁提供)

「ぜひPLAY withの活動にプロのママのコミュニケーション術を取り入れてみたい」と問い合わせ、今回のイベントの開催となった。仕掛け人は、オンラインスナック横丁文化 代表の五十嵐真由子氏。同氏は以前から企業に向けてママを派遣し、スナックコミュニケーションを取り入れた企画「オフィススナック(R)」を提唱している。

今回のイベントでは、スナックに行ったことのない社員が多いこともあり、まず、スナックに関する簡易的な講義1時間と、実際にスナックを体験する1時間の2部構成にした。

2部に参加したのは、オンラインスナック横丁のママは6人。1人のママに対して“お客”の数は5〜7人が適切だろうということで、2部は40人募集。社員の注目は高く、1部には60〜70人、2部には35人が参加した。中には役員も含まれている。

Zoomのブレイクアウトルーム機能を使い、どのママの店に入るかは、PLAY with側が割り当てた。同じパナソニック社員同士でも「初対面」「話すのは初めて」という社員も多い。

たとえば、岩手県・花巻市のスナック「ライズ」。執行役員 CTO 小川立夫氏と社員らが参加していたが、「酒は飲まない」「スナックは苦手」と冒頭でこぼした小川氏に気を遣ってか、社員の口数は少ない。そこで、社員が「共通項を引き出すテッパンのネタは?」とママに質問。

ママは「食べ物の話ですね。困ったときの食べ物だのみ。『どこそこの何がおいしかった』『そろそろあれ食べたいな』とか」と回答。

その後、花巻市の話題になり(ご当地ネタも盛り上がる)、小川氏自ら花巻市にちなんで、「趣味で合唱をしてるんですけど、合唱曲に志戸平温泉(花巻市)が出てくる曲があるんです」とネタを振ると、ママが好機を見逃さず「合唱を? その曲はなんですか」「こういう話が出てくるのが、まさにスナックですよ」と合いの手を入れ、ここで社員の空気がフッと緩んだ。

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