パナソニック社員が「スナック」で語り合った夜 新たな形でコミュニケーション促進にトライ

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「スナックのママはふだんから経営層の方と会話されているだけあり、話の持って行き方がうまく、『あなた、社長なんでしょ』と、ごく自然に発言を促す。ビジネスのファシリテーターはなかなかこういう感じには言えません」と、福井氏。

一方、イベントに参加した社員はどう思っているのか。

「ママによってコミュニケーションのスタイルがさまざまで興味深い。顧客同士がつながるきっかけを演出することに力を入れているママや、マンツーマンで深い話をすることを得意とするママもいて、コミュニケーションを活性化させる手段もいろいろあると勉強になった」(パナソニックグループ労働組合連合会 イノベーション支部 支部委員長 木下智博氏)

「初対面の社員が参加していたが、初対面であることを感じずに話せて、新たなつながりをつくることができた。ファシリテーションスキルがあれば、たった1時間でも参加者間の距離を大きく縮めることができると実感しました」(イノベーション推進部門 マニュファクチャリングイノベーション本部 秋山真之介氏)

ママという「つなぎ役」が果たす役割

スナックに慣れていない、ましてやオンラインということになると、その場の全員が「和気あいあい」となるのは1回、2回の開催では難しいかもしれない。だが、スナックのママという「つなぎ役」を招くことで、いつもの会議とは違う流れをつくり出せるかもしれないという可能性は大いにある。

実際、「スナックは中座することが多い」と言っていた小川氏は、今回、趣味のコーラス活動についてマニアックな合唱曲の情報を披露するなど、社員では引き出せない意外な一面を見せていた。

「コロナ禍でコミュニケーションが疎になったかというと、弊社では意外とそうではなく、同じ部署内では定期的に毎朝ミーティングを行うなどかえってコミュニケーションの機会は増えています。

しかし、部外に目を向けたらやはりコミュニケーションは減っている。中に向けては力が働いているけれど、外に対する視点がなくなっているんです。視点を広く持てば、世の中めちゃめちゃおもしろい活動をしている人がいる。PLAY withは、そういった外部にあるものも積極的に取り入れる活動にしたい」(福井氏)

安楽 由紀子 フリーランスライター

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あんらく ゆきこ / Yukiko Anraku

1973年、千葉県生まれ。国際基督教大学卒業後、編集プロダクションを経てフリーに。芸能人、スポーツ選手、企業家へのインタビューを多数行う。

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