買わずに「もらって暮らす」生き方が最強な理由 誰もが手に入れるべき「現代人必須の魔法」

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何しろ、改めて一から説明しますと、現在の私は、何かが欲しいと思った時、次の3つの方法を検討するのであります。

①あるもので何とかする(買わない)

②もらう

③買う

この数字には意味がありまして、この順番に検討していくのだ。まずは、買わずに済ませる方法を考える。作るとか、あるもので何とかするとかね。それが無理なら、じゃあ誰かにもらっちゃおうと考える。それもさらに無理なら、買う。

いわば「三本の矢」だ。かつて「買う」という一本しかなかった矢が、二本に、そしてさらに三本になったのである。これは実に強力で、こうなってくると「買う」というところまで行き着くことは決して多くない。というか、食べ物を別とすれば、ほとんどないと言っても過言ではない。

さらに言えば、①と②はそれぞれに知恵や工夫や人間力を駆使したクリエーティブな行為であるのに対して、③はカネさえあれば何のクリエーティビティーがなくてもできてしまうので、はっきり言って面白くも何ともない。

「買う」ときは敗北感でいっぱい

というわけで「買うか……」となった時の私は敗北感でいっぱいで、がっくりと肩を落としたりしているのである。

いやー……かつて「買う」といえば、間違いなく人生で最もキラキラした行為だったのに! まるで別の自分に生まれ変わったようだ。買うことがツマラナイだって? ほぼ「解脱」の域に近い気もしてくる。

で、まさにここまでくればお金に振り回されるなどということはまったくないのであった。いやね、世の中にお金持ちはいっぱいいるけれど、失礼ながらいくらお金を持っていても、いやお金を持っているからこそお金に振り回されている人は案外多いようにも思われる。

もちろんそれはそれで一つのエキサイティングな人生ではあろうが、個人的にはまったく羨ましいとは思わない。

幸せとは「足りている」状態なのではないかというのが今の私の結論である。そして、私は今、間違いなく足りているのだ。それも、考え方を、やり方をちょっと変えただけで。

これ以上の現実的な「お金から自由になる方法」なんてあるでしょうかと思う今日この頃である。

稲垣 えみ子 フリーランサー

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いながき えみこ / Emiko Inagaki

1965年生まれ。一橋大を卒業後、朝日新聞社に入社し、大阪社会部、週刊朝日編集部などを経て論説委員、編集委員をつとめる。東日本大震災を機に始めた超節電生活などを綴ったアフロヘアーの写真入りコラムが注目を集め、「報道ステーション」「情熱大陸」などのテレビ番組に出演するが、2016年に50歳で退社。以後は築50年のワンルームマンションで、夫なし・冷蔵庫なし・定職なしの「楽しく閉じていく人生」を追求中。著書に『魂の退社』『人生はどこでもドア』(以上、東洋経済新報社)「もうレシピ本はいらない」(マガジンハウス)など。

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