苦境のヨーカドー再生に挑むヒューリックの秘策

駅前の巨大モールと競合しないための工夫とは

ヒューリックが改装を行ったヨーカドー鶴見店。ヨーカドーは衣料品からは撤退し、食品売り場のみに縮小した(記者撮影)

9月23日、横浜市鶴見区に商業施設「LICOPA(リコパ)鶴見」が開業した。元々は「イトーヨーカドー鶴見店」で、約半年間の改装を経てショッピングセンターに生まれ変わった。手がけたのは不動産大手のヒューリックだ。

電通本社ビルやティファニー銀座ビルなど高額物件の売買で鳴らすヒューリックだが、都心の大型物件だけでなく、ヨーカドーが入居する郊外の店舗も買い進めている。鶴見店は2018年にJXTGホールディングス(現ENEOSホールディングス)から取得。同時期には近隣の川崎店を、さらに今年8月には千葉県の四街道店も取得した。このほか福島県の福島店も保有する。

「リコパ鶴見」。テナント入れ替えのみならず、老朽化した建物の耐震補強も施し生まれ変わらせた(記者撮影)

不動産業界にとって、ヨーカドーのような総合スーパー(GMS)は将来性が疑問視され、投資よりも売却対象とみなされている。四街道店を売却した上場REIT(不動産投資信託)の日本都市ファンド投資法人は、「近隣競合環境の激化が予想される中で、将来的なダウンサイドリスクの可能性など総合的に勘案した」とする。

同法人は川崎店の売り主でもあり、同店を売却した理由もやはり競争環境の激化と収益の伸びしろが限られる点だとする。

“逆張り”にも見えるヒューリックのGMS買収だが、勝算はあるのか。

客数1.5倍の野心的な計画

リコパ鶴見でテナントリーシングを担当したバリューアッド事業部の後藤杏奈部長代理は「年間の来客数を400万人に引き上げる」と豪語する。ヨーカドー鶴見店時代の来店客数はコロナ禍以前でも年間約260万人であり、客数を1.5倍に伸ばす野心的な目標だ。

まず手を付けたのが、ヨーカドーの売り場面積の縮小だ。ヨーカドー鶴見店時代には5階建ての建物をイトーヨーカドーが1棟借りしていた。1、2階の店舗区画のうち食料品を扱う1階の売り上げは堅調だったが、衣料品が中心の2階は低迷していた。

そこでリコパ鶴見ではヨーカドーの売り場を1階フロアの半分に縮小。扱う商材も食料品に絞った。

丸ごと空いた2階フロアにどんなテナントを誘致するか。カギを握るのは建物の形状だ。長方形の建物内に店舗が建ち並ぶショッピングモールとは異なり、リコパ鶴見はGMSで採用されることが多い正方形のフロアだ。中央の吹き抜けを囲む形で店舗が並び、来店客は中央のエスカレーターかフロア端のエレベーターで館内を移動することが想定されている。

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