苦境のヨーカドー再生に挑むヒューリックの秘策 駅前の巨大モールと競合しないための工夫とは
長方形の建物と比べ、正方形のフロアは各店舗区画の奥行きが広くなり、テナントによっては面積を使い切れない懸念があった。そこで、大型店舗を展開するテナントに照準を定めて誘致することに。2階フロアにダイソーやABCマート、ニトリの「デコホーム」などが入り、1階には500坪以上の大型店舗の出店に注力している無印良品が進出した。
「ラゾーナ川崎」とは戦わない
特徴的なのは、リコパ鶴見に入居するテナント計33店舗の中にアパレルブランドが見当たらないことだ。衣料品部門が苦戦したヨーカドー時代の反省を踏まえただけでなく、リコパ鶴見の立地も関係している。
横浜市鶴見区に立地するリコパ鶴見だが、半径5㎞圏内には川崎駅があり、駅に接続する「ラゾーナ川崎」を筆頭に大型商業施設がひしめく。アパレルブランドを豊富に取り揃えた商業施設と太刀打ちをするのは難しいと判断し、商圏を半径2㎞に定めて生活必需品に品ぞろえを特化したのだ。
商圏内の人口は約18万人で、主流は30~40代のファミリー層だ。そこで学童保育や英会話教室、体操教室など、子どもを対象とするテナントを誘致。館内に子ども向けの遊具も設置し、ファミリー層の来店を促した。ヨーカドー時代はシニア層が来店客の中心だったが、域内の主力層に照準を合わせた形だ。
テナントの入れ替えに加えて、細かな部分でも収益を捻出できるようにした。ヨーカドー鶴見店時代は679台もの駐車区画があったが、郊外店舗とはいえ車離れが加速する中では過剰だった。そこで132台分の駐車スペースをバーベキュー場やフットサルコートとして賃貸し、23台はカーシェア用の自動車を配置した。
このような再生策を駆使したことで、オープン後2週間の客数は想定を超えて推移しているという。ほかにも、川崎店などほかのヨーカドー店舗の改装も検討し、高収益店として生まれ変わらせようとしている。
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