旭硝子が迷い込んだ、建築用ガラスの袋小路 社内でくすぶる現経営陣への不満

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すでに直近2期は頻繁に会社計画を下方修正している。就任以来、石村社長が繰り返し強調してきた、「業績反転への決意」という言葉は、信用力が極度に低下してしまった。業績や株価の低迷ぶりから、在任6年半の経営手腕を疑問視する声が社内外で高まっている。

石村社長の言葉に対する信用力は低下している(撮影:梅谷秀司)

スマートフォンなどのディスプレー用特殊ガラスを成長製品と位置づけ、2012年に年商300億円以上に拡大させるとしていたが、ライバルのコーニングや日本電気硝子との競合が激しく、大幅な未達となっている。また、太陽電池用ガラスも採算が厳しく、6月末にベルギー工場を閉鎖すると決定。47億円の特損計上を発表している。

今年2月に開いた決算説明会の席上で、石村社長は「全社的な体質強化」を打ち出していた。生産性向上とコストダウンを目的とした全社横断的なプロジェクトを立ち上げ、2年間で100億円のコスト削減を積み上げるという内容だ。

しかし、それだけでは不十分との判断から、今回の緊急管理職リストラを決めた。一説には、人事部門が「リストラ実施は来期でもよい」と抵抗したものを、社長がつっぱねて強行したといううわさもある。

退任論が高まる懸念

業績が好転する兆しもなく、ジリ貧では、社内の士気低下は避けられない。そのことは石村社長もよくわかっていたのだろう。中堅・若手の組合員に対しては、今夏のボーナスは満額一発回答という“アメ”も与えている。

ただ、業績をさらに下方修正するような事態となれば、社内の中堅・若手の将来不安が増幅して、アメの効果が水泡と帰す可能性もある。実際、今年の春闘で、組合側は要求に対して未達の回答が出た場合、社長をはじめ経営陣に対して、業績悪化の責任を追及する構えを鮮明にしていた。

前任の門松正宏会長(当時)は、5年前に早期退職や給与カットを実施した際には、けじめとして代表権を返上。CEO(最高経営責任者)職を当時、社長兼COO(最高執行責任者)だった石村氏に譲った。先人に倣って石村氏も社長を今期限りで退任すべきとの声が高まるかもしれない。

「週刊東洋経済」2014年8月23日号<8月18日発売>掲載の「核心リポート02」に加筆)

古庄 英一 東洋経済 記者

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ふるしょう えいいち / Eiichi Furusho

2000年以降、株式マーケット関連の雑誌編集に携わり、『会社四季報』の英語版『JAPAN COMPANY HANDBOOK』、『株式ウイークリー』の各編集長などを歴任。

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