私の周りにもそれぞれの会社で評価されている、または会社の代表を務めているような人こそ遊び上手で多趣味、といった傾向があるように思います。学生時代からの趣味を持っている人もいますし、以前よりも仕事が軽くなってきたので、ロードバイクやらロッククライミングを始めたというパターンもあります。
しかし、彼らは仕事が好きで、長い間やっているので、結果として現在、バランスが取れているのだと思います。
最初からバランスが取れていたのではない
考えなくてはならないのは、現在、仕事と趣味や人付き合いを楽しんでいる人たちが、最初からそうであったのか?です。
大半はそうではないでしょう。よほど能力に恵まれている人でないかぎり、20代のうちは寝る間も惜しんで仕事をした、というケースが多い。それはなぜか。やはり20代の早い段階で、仕事の基礎を他人以上に徹底的に学び、長期的な成功の土台を築くことを優先したからでしょう。その結果として、趣味や人付き合いに割ける時間とおカネを得ているのです。その逆、趣味も人付き合いも思いっ切り楽しんでいたから、現在、いい仕事ができているわけではないはずです。
もちろん、最初から両立できるのが理想でしょうし、そういうスーパーマンも存在するでしょうが、圧倒的多数ではありません。少なくとも私自身にはそんな器用さや天才的な才能はまったくありませんでした。
では、なぜ20代のうちに仕事を優先する人が多いのか。それは「合理性」と「必然性」によるものです。
前者の合理性については、単純に仕事に慣れるのに時間がかかるため、多くの時間を割いたほうがいいですわけです。また、学生時代に経験しなかった仕事という新しいことに触れ、日々成長できる自分に喜びを見いだして、仕事に夢中になるというのもあるでしょう。
仕事の基礎を学ぶのは、30代や40代で始めることはできません。20代だからこそできることとして合理性があります。
ちなみに、このスタートダッシュは非常に重要だというのが、私自身の経験からも言えます。仕事の土台は、文字どおり血を吐くほど苦労した20代に形成されました。
さらには20代の頃の仕事のスタイルを変えるのは難しいことも認識すべきです。
「The power to become habituated to his surroundings is a marked characteristic of mankind」と言ったケインズではありませんが、やはり人は環境や習慣にとらわれる傾向にありますので、一度慣れた環境や仕事のスタイルを、30代になって変える、とりわけゆるいスタイルからハードなスタイルに変えるのは、体力的にも困難です。
簡単な例を挙げてみても、20代のうちにきちんとあいさつをする、報告をする、といったことが身に付いていない人が、30代になって変わることはまずないでしょう。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら