元不登校の五輪選手が感謝する親の勇気ある対応 学校に行きたくない子とどう向き合うべきか
今夏の東京五輪、競泳男子200メートル背泳ぎで準決勝進出を果たした砂間敬太さん(イトマン東進)は、ジュニアの頃からつねに全国トップスイマーとして活躍してきた。砂間さんは小学4年から中学3年までの6年間、ほぼ学校に行かなかった。
水泳を始めたのは3歳のころ。順調に記録を伸ばしていたが、小学4年のときに不登校になり、通っていたスイミングスクールも辞めた。「子どもながらに、学校に行かないのに水泳だけやってちゃダメだと思った」。砂間さんの才能を惜しんだコーチの説得により5年生でプールに戻り、6年生のときには初めて全国タイトルを獲得した。
学校に行かなくなったきっかけは、はっきり覚えていない。明るい性格で運動能力が高い人気者タイプ。勉強も嫌いではなかった。少し休んで学校に行くと、どうして休んだのかと詮索されるのが嫌だった。人と違うことをやると怒られるような学校特有の同質性に、息苦しさを感じていたのかもしれない。
「そんなに行きたくないのなら・・・」と親は容認
当初、両親は何とか砂間さんを学校に行かせようとしたが、本人の意思の強さに、家にいることを容認したという。
「僕が頑固でどうしても行きたくなかった、学校に行ったふりをして(家の中に)隠れたりもしたので、そんなに行きたくないのなら、と……」
中学入学後も、全国トップスイマーとして活躍。たまに登校することもあったが、依然として学校には気が向かなかった。自宅の本棚には父が所有する多くの本があった。家にいる時間は、自分で勉強することもあったが、本をたくさん読んだ。砂間さんにとっては家とスイミングスクールは安心できる場所だった。
「スイミング(スクール)に行けばいろんな学年の子がいて気が楽だった。年代が上の人たちも多くて、僕が学校に行っていなかったのも知っていたと思うけど、だからこそ理解してくれて、そういう話題も出なかった。居心地のよさがありがたかった」
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