元不登校の五輪選手が感謝する親の勇気ある対応 学校に行きたくない子とどう向き合うべきか

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メンバーの1人、専門学生のあいかさん(19)は、中2の冬から高校1年にかけて不登校を経験。一度は全日制の高校に進学するも合わず、通信制高校に転学した。

「何となく学校に居づらくてつらかった。当時、親ともあまり関係がよくなくて、家も居心地が悪くてどこにも自分の居場所がないと感じていた」

自室に籠る日々を経て、娘の不登校を機に心理学やコミュニケーションを学んだ母との関係がよくなると、エネルギーが外に向いた。

「家が安心できる場所になったのは大きかった。私の場合はしっかり休んで、心の充電ができたことで、その後に通信制高校でさまざまなチャレンジができました」

高校生活を満喫していたころ、あいかさんは母から「(不登校経験を)話してみない?」と誘われ、保護者向けのイベントに登壇した。そのときに驚いたことがあった。

「お子さんの不登校で悩む保護者の方が、私の話を聞いて泣いてくれたんです。私の経験が誰かの役に立てるんだってびっくりしました」

親御さんは心穏やかに待ってほしい

その後も、親の会などで子どもの不登校に悩む保護者に出会ううちに、感じたことがある。

「『私が何とかしなきゃ』と思っているお母さんが多い気がする。子どもは充電して、動きたくなったら勝手に動くと思う。もっと自身の子どものことを信じてあげてほしい。子どもは、お母さんたちが楽しくいてくれるのがいちばんうれしいんです。頑張りすぎず、気晴らししてほしい。美味しいパンケーキでも食べに行ってください、って言いたいです(笑)」

五輪スイマーの砂間さんは、自らの経験から、子どもの「安心できる居場所」の必要性を説く。

「僕はスイミングと家が安心できる場所だった。子どもが不登校になると、親御さんも不安でパニックになってしまうかもしれない。でも親が受け入れてあげなかったら、子どもの居場所がなくなってしまう。

大人はお金もあるし、ストレス発散の方法もいろいろ知っているけど、子どもはそうじゃない。学校以外の居場所も、家や習い事の場所くらいしかない。親御さんには、心を穏やかに待っていてほしいし、子どもにはいろいろな人と関わらせてあげてほしい。引きこもるのではなく、前向きな不登校の子が増えたらいいなと思う」

「不登校のその先」を知ることで見えてくるものがある。まずは子どものことを受け入れること、家が安心できる居場所になること、信じて待つこと、いろいろな選択肢を知ること――自分の道を歩んでいる彼・彼女らの言葉には、子どもを取り巻く大人への多くのヒントが含まれているのではないだろうか。

松田 珠子 ライター

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まつだ たまこ / Tamako Matsuda

静岡県出身。大学卒業後、スポーツ関連財団勤務、スポーツコミュニケーションズ勤務を経てフリーランスに。スポーツ、山、子育て(教育)などの分野で取材・執筆。著書に『山岳王 望月将悟』(山と渓谷社)。現在は石川県金沢市在住。小学生双子男児の母。

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