ABC問題で支持率低下したバイデン大統領の今後 支持率低下は一時的か、中間選挙まで響くのか
一方、今日、共和党に留まらず、民主党内でも政権の対応に批判が高まっているのだ。民主党は共和党とは正反対で政権が移民に十分に寛容でないことを批判している。馬に乗った米国境警備隊がまるでムチで移民を威嚇しているとも見受けられた画像がSNSで拡散し、非人道的との批判が、民主党議員から政権に殺到した。
特にトランプ前政権が導入した移民抑制策の「合衆国法典第42編(通称:タイトル42)公衆衛生および福祉」をバイデン政権も利用し、移民を母国に強制送還している点などで、民主党議員の非難が激しくなっている。バイデン大統領は移民政策について、トランプ前大統領とは変えると主張して当選したにも関わらず、トランプ氏と同じ手法で非人道的な対応をしているというわけだ。
国境問題におけるバイデン政権の最大の課題は、明確な戦略が存在しないことだ。国境問題について非人道的と批判されてもトランプ前政権には厳格な移民政策を貫くといった戦略があった。バイデン政権は公の場では移民を快く受け入れるといった寛容な移民政策を打ち出している一方、それによって押し寄せる大量の移民の受け入れを拒み強制送還を継続するなど戦略は不明瞭で矛盾している。
秋には普通の生活を取り戻す、と約束したが
③ コロナ問題(Coronavirus)
独立記念日の7月4日、バイデン大統領はホワイトハウスの南側にある芝生の庭「サウスローン」で数百人のマスクを着用していない招待客を前にした演説で、コロナ戦争で政権は優勢にあり、もはや国民生活を左右しなくなったと主張した。だが、独立記念日の時点で約1万5000人であった新規感染者数(7日間移動平均値)は、2カ月後の9月4日には約15万8000人と10倍以上に膨れ上がった。
デルタ株拡大によって、アメリカ疾病対策センター(CDC)は7月末にマスク着用指針を強化した。バイデン大統領の独立記念日の演説は、「任務完了(Mission Accomplished)演説」と類似しているとも酷評された。「任務完了演説」とは2003年、イラク戦争が終結していない段階でジョージ・W・ブッシュ大統領が勝利宣言したと捉えられた演説だ。
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