ABC問題で支持率低下したバイデン大統領の今後 支持率低下は一時的か、中間選挙まで響くのか

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だが、2012年、リビア東部のベンガジで起きた米領事館襲撃事件について4年後の2016年大統領選前、共和党は議会公聴会や調査報告書などを利用しヒラリー・クリントン大統領候補(当時)の責任を追及し、国民の記憶に留めることに功を奏した。アフガニスタン問題も同様に、共和党がバイデン政権の攻撃材料として利用することが予想される。中間選挙で共和党が議会多数派に返り咲けば公聴会をコントロールしやすくなるのでなおさらだ。

さらには保守系メディアのフォックスニュースがアフガニスタンは「テロリストのディズニーランドと化す」と訴えるように同国がテロの温床となるリスクは残されている。かつてアメリカ軍ベトナム撤退後のサイゴン陥落から数年後は、アメリカの世界的な影響力の低下が広く認識されていく中で、イラン革命、ニカラグアのサンディニスタ革命、ソ連のアフガニスタン侵攻などさまざま国際問題が浮上した。アフガニスタン撤退もこれをきっかけに世界情勢の不安定化につながりバイデン政権を脅かすリスクがある。

世論調査結果からは外交が選挙に与える影響は小さいことがわかっている。だが、バイデン大統領そして側近は自分たちを外交のエキスパートであるとして、国民に売り込んでいただけに、アフガニスタン撤退での失態のダメージは大きい。米メディアは「バイデン大統領のカトリーナの瞬間」と報じた。2005年にハリケーン「カトリーナ」がニューオーリンズを直撃した際、政府の対応に不手際があったことが、ジョージ・W・ブッシュ大統領(当時)の低下傾向にあった支持率に追い打ちをかけたことになぞらえたものだ。その後、ブッシュ氏の支持率が不支持率を上回ることは一度もなかった。

移民問題では、共和党と身内・民主党から挟み撃ち

② 南部国境問題(Border)

アフガニスタンに続き、バイデン政権に対し超党派で批判が高まっているのが南部国境問題だ。今月、テキサス州デルリオ国際橋下に一時は1万人を超える主にハイチからの移民が集積し、米税関国境警備局(CBP)による手続きを待っていた。

バイデン政権発足以降、南部国境に大量の移民が押し寄せていることについて、保守系メディアそして共和党議員が批判を繰り返してきた。共和党はバイデン政権の寛容な移民政策によって移民が急増していることを批判している。

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