ABC問題で支持率低下したバイデン大統領の今後 支持率低下は一時的か、中間選挙まで響くのか
夏の終わりとともにバイデン政権の雲行きが怪しくなってきた。政権発足以来、バイデン大統領の支持率は50%台で推移していたのが、7月下旬以降は下落傾向にあり、直近では40%台半ばで、不支持が支持を上回った状態が続いている。
就任年の夏、支持率が低下する現象は歴代大統領でも繰り返し見られた。この時期、多くの大統領は就任以来続いていたハネムーン(蜜月)の終わりを迎える。大統領たちは選挙キャンペーンで公約した政策の実行に向け政権運営を目指すものの、それが公約どおりに実現できない。国民もそれに気づく頃だ。
オバマ元大統領もトランプ前大統領も、就任年の夏に各種問題に直面したことも影響して、支持率が低下した。したがってバイデン大統領の支持率低下も蜜月の終焉が一因ともいえよう。とはいえ、バイデン大統領の支持率低下には、より深刻な問題が潜んでいるかもしれない。
ABC問題で窮地に陥るバイデン大統領
今日、バイデン大統領を窮地に陥れているのは、主にアフガニスタン問題(Afghanistan)、大量の移民が流入している南部国境問題(Border)、いまだに収束しないコロナ問題(Coronavirus)の「ABC問題」だ。
だが、バイデン大統領にとってより重大なリスクは、さまざまな問題の積み重ねによって国民からの信頼を失い、政権運営能力が問われ始めていることではないか。バイデン大統領はこれまで上院議員や副大統領を務めたものの、州知事などの巨大組織のトップを経験したことがない。こうした点を指摘する報道も出始めた。
① アフガニスタン問題(Afghanistan)
アフガニスタン撤退はアメリカ国民の多くが支持していたものの、撤退の仕方については民主党内からも批判の声が上がった。アメリカ軍約2500人を撤退させようとする中、アメリカ国民の国外退去のために新たにアメリカ軍約6000人を派遣せざるをえない事態に発展し戦略ミスが露呈した。
中間選挙までまだ1年以上あるので、バイデン大統領は内心、アフガニスタン問題に対する国民の関心が薄れていくことに期待しているかもしれない。確かにその頃には国民はバイデン政権がアフガニスタン戦争を終えたことしか記憶していない可能性も高い。
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