「応用力がない」の地獄にハマる子が知らない見方 ひたすら応用問題をやっても解決しない

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これが応用力の正体です。共通部分(ルール・コツ)を別の問題に当てはめること、この状態を「応用力がある状態」といいます。しかし、新しく見た問題をルールに当てはめるためには、まずは共通部分がわからないと話になりません。

ですから、重要なことは、共通点を見いだせるかどうかにかかってきます。子どもは特に、異なる部分を見つけることはすばやくできますが、共通部分、似ている部分を見つけることは得意ではない傾向にあるようです。筆者は、子どもの間でいじめがよく起こるのも、違いばかりが目につくことが背景にあるようにも感じます。

一般的に応用力をつけようと思って、応用問題をいくらやらせてもダメな理由はここにあります。共通部分というルール化ができていないのに、応用問題をいくらやっても、それは新たな具体的な問題が1つ登場したことにしかなりません。

「こんな問題初めて!」が減っていく

応用力がつくと、例えば入試の過去問のパターンがわかります。過去5年分ほどやれば、同じ傾向、選択肢の作り方が似ているなどコツを見抜くことができます。そのような子は早々にポイントをつかみ、実際の入試でそれを「応用」します。しかし、応用力がないと、1年1年の過去問がすべて異なる問題と認識してしまい、入試では、「こんな問題、はじめて見た!」となります。

これだけ重要な「応用力」ですが、子どもたちは、共通部分の見抜き方、新しい問題への適用の仕方を教えてもらう機会はほとんどありません。そのため、もともと応用力を持っている子だけの特権となってしまっているのです。

応用力とは何なのかを教えてあげなければ、いつまでも応用力はつかないままで終わってしまうかもしれません。そのためにも、問いかけをしてあげてみてください。それだけでも随分と変わってくると思います。

石田 勝紀 教育デザインラボ代表理事、教育評論家

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いしだ かつのり / Katsunori Ishida

1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4000人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、Mama Cafe、執筆、講演を精力的に行う。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』ほか多数。

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