孫正義の師が教える!「今日を懸命に生きるコツ」 「プロの言葉」に学ぶ「自分の価値」の高め方

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人と同じことをして、人と違う結果が出るはずがない。結果には、必ず原因があるのだ。

新聞を社会欄から読む理由

ビジネスパーソンとして最も危ないことは何か、という質問に「成長できない環境に身を置いてしまうこと」と答えた人がいた。実は「ラクでおいしい」仕事や環境は、長期的に見れば極めて危険である。それは、成長できないことと、ほぼ同義だから。

では、なぜ成長しなければいけないのかというと、成長しないと立場を失いかねないから、というだけではない。成長することによって、より大きく世の中の役に立つことができるからである。成長しようとして、一生懸命に生きることになるからである。それは、毎日の充実につながる。

最後に、この人の言葉を紹介しておきたい。唯一、本の中で出典のない言葉。食事の席で、聞いた言葉である。

「明日は誰にも保証されていない」
 ──野田一夫(経営学者)

野田一夫さんは、今や日本を代表する企業となったソフトバンク創業者の孫正義さんが、師と仰ぐ人物。創業まもない頃、孫さんやパソナの創業者・南部靖之さんなどをサポートしていたのが、当時ニュービジネス協議会の理事長を務めていた野田一夫さんだった。

東大卒業後にスター教授となり、日本にピーター・ドラッカーを紹介。立教大学教授時代には観光学部を創り、多摩大学、宮城大学の初代学長を務めた。私は何度もインタビューする機会を得たが、忘れられない言葉をもらったのは、一緒に食事をしたときだった。

野田さんは私に新聞を読んでいるか、と尋ねた。読んでいると答えると、どこから読むか、と問われた。1面からだと答えると、僕は違う、と言われた。社会欄から読むのだ、と。

「どこどこの街で事故が起きて誰々が亡くなった。そんな小さなベタ記事があるだろう。そこから読むんだ。それには理由がある。いつなんどき、自分の名前がここに出ることになるのか、わからないということを思い出すために、だ」

ハッとさせられた。たしかに、そうなのである。そこに自分の名前が、また家族や友人、知人の名前が、出ないとはいえないのだ。

「人は当たり前のように明日のことを考える。でも、明日は誰にも保証されていない。もしかすると明日はないかもしれないと気づければ、今日を懸命に生きるようになる。そのことを改めて自分に思い知らせるために、社会欄から読むんだ。上阪くん、君は今日を懸命に生きたか!」

衝撃だった。大事なのは今、この瞬間なのだ。今をこそ、大事にしないといけないのだ。

*** 

いったい自分は何のために生まれたのか。何のために生きているのか。こうした哲学的な思考をする機会が、日本人には極めて少ない。青臭い議論もあまり好まれない。だが、「何のために生きているのか」を認識できず、「ただ生きるために生きている」のだとすれば、そこに充実感など、あるはずがない。

たくさんの人へのインタビューを通じて、私の関心は単に社会的、経済的に成功することではなく、生きていくうえでの本質的な価値に向かっていった。生きるとは何か、幸せとは何か。プロフェッショナルと呼ばれる人たちの言葉には、そのヒントが散りばめられている。

上阪 徹 ブックライター

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うえさか とおる / Toru Uesaka

ブックライター。1966年、兵庫県生まれ。早稲田大学商学部卒業。ワールド、リクルート・グループなどを経て、1994年、フリーランスとして独立。経営、金融、ベンチャー、就職などをテーマに、雑誌や書籍、Webメディアなどで幅広くインタビューや執筆を手がける。これまでの取材人数は3000人を超える。他の著者の本を取材して書き上げるブックライター作品は100冊以上。2014年より「上阪徹のブックライター塾」を開講している。著書は、『1分で心が震えるプロの言葉100』(東洋経済新報社)、『子どもが面白がる学校を創る』(日経BP)、『成城石井 世界の果てまで、買い付けに。』(自由国民社)など多数。

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