政令市でも若者の流出が続く「静岡と浜松」の苦悩 静岡市は婚活支援や新幹線通学支援も行うが…
静岡市を離れる若者たちはどこへ向かっているのか。総務省がまとめた住民基本台帳人口移動報告(2020年、2019年)で、静岡市からの日本人の転出状況をチェックしてみよう。
市全体の転出超過(人口流出)は702人で、前年の1178人より大幅に減っている。若者を中心とした世代別の状況は次の通りだ。
2020年は20-40代の転出超過が半減しているが、これはコロナ禍の影響だろう。
他市区町村への移動状況を見ると全体のほぼ半数の移動先は市内を含む静岡県内だが、県外移動者に限ってみると東京、神奈川、愛知の1都2県が圧倒的に多い。このほかでは千葉、埼玉、大阪などとなっている。
東京都への転出超過数(日本人)は全体で777人。若者世代では、15-19歳が104人、20-24歳が425人、25-29歳が190人で合計719人。全体の93%を占めている。
浜松市でも若者世代の人口流出は深刻な課題だ。市がまとめた「第2期浜松市〝やらまいか〟総合戦略」(〝やらまいか〟は、浜松市を象徴する言葉で〝やってみよう〟の意)の中で、東京圏との社会移動について触れている。
2015年から2018年にかけての東京圏への転出超過(日本人)の実態を示したもので、それによると15歳から29歳の若者の転出超過は4年間で3768人。東京圏への転出超過全体4685人の8割を占めている。15-29歳の男女別では、男性の1621人に対し女性は1.32倍の2147人となっている。若い女性の流出が深刻だ。
静岡市と同様、2020年の東京都への転出超過数を見てみよう。転出超過数は全体で664人。15-19歳が135人、20-24歳が448人、25-29歳が130人で合計713人。全体の転出超過数を上回っているほどだ(その一方で40-60代が若干の転入超過となっている)。若者の〝静岡離れ〟が止まらない実態が浮かび上がってくる。
若者の流出理由は?
若者が静岡を離れる理由は何か。県主催の「美しい〝ふじのくに〟まち・ひと・しごと創生県民会議」で示された東京圏在住の若者へのアンケート結果(2019年7月実施)によると、県出身者が転出した理由・きっかけは、大学進学が58.1%で断トツ。以下は就職34.2%、結婚15.9%などが続いた。
就職時に静岡に戻らなかった理由(複数回答)には、静岡の現実が浮かび上がってくる。
② 給与水準の高い仕事がなかった 27.2%
③ 交通のアクセスが充分でなかった 19.0%
④ 特に理由はなかった 15.9%
⑤ いつでも気軽に帰省できる環境だった 15.2%
そのほかでは、娯楽・レジャー施設への不満、買い物環境への不満、家族関係などがある。
Uターン志向については、「絶対戻りたい」はわずか4.1%。「まあ戻りたい」20.1%、「どちらでもいい」36.2%、「あまり戻りたくない」27.0% 、「絶対戻りたくない」12.6%と、4割が「戻りたくない」と回答。郷土愛が薄いのだろうか。
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