楽器産業の優等生「ヤマハ」を悩ませる大問題 河合楽器やローランドに比べて勢いが弱い

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2020年10月に、ヤマハの電子楽器向けの半導体を作っていた旭化成マイクロシステム延岡工場で火災が発生した。ヤマハは電子楽器向け半導体の多くを旭化成マイクロシステムに頼ってきた。世界的な半導体不足もあり、電子楽器向けの供給不安に拍車をかけている。

悩んでいる企業はヤマハだけではない。カシオなども今期から徐々に半導体不足の影響を受け始めている。だが、ローランドは今下期分の半導体在庫を使い機動的な増産に取り組んでいるなど、対策がうまくいっている。こうした背景からローランドや河合楽器は期初から2021年度の業績見通しを引き上げる一方、見通しの不透明感からヤマハは上方修正に踏み切れなかった。

BCNが2021年8月に発表した2021年上半期の電子ピアノ実売台数ランキングによると1位はカシオのPriviaシリーズだった。ヤマハ製品は2位、3位に入るものの、10位までにヤマハ製は3製品のみだった。

ヤマハの巻き返しは思うようにいかない

ある家電量販店大手の担当者は「ヤマハの電子ピアノ在庫は品薄状態。需要が高いこともあるが、半導体不足の影響もあるのでは」と語る。また、ある競合他社は「ヤマハに比較すれば半導体不足の影響は大きくない。シェアを伸ばすチャンスだ」と意気込む。

ヤマハは巻き返しに向け増産を急ぐが、思うようにいかない様子だ。電子ピアノなど全体の受注残も2021年3月末の約260億円から3ヶ月後の6月末には約310億円と50億円増加している。半導体不足の影響を緩和しようと代替部品の確保や設計変更など対応を急ぐが、受注増をさばききれない状況だ。こうしたことから、通期全社売上への半導体不足による影響額を5月時点に100億円弱としていたが、8月には倍の200億円弱に引き上げるところまで追い込まれている。

ヤマハは今第2四半期以降も、半導体供給不足の影響が続きそうだ。同社は8月の決算説明会で「新たな(半導体の)供給不足もあり、状況を明確に見通すことは難しい。AV機器を筆頭に、電子楽器など、電気系の製品全てに半導体不足の影響が出てくるだろう」と語った。

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