「クモを薬漬けにし死ぬまで働かせるハチ」の驚嘆 クモヒメバチに捕まったクモの悲惨すぎる末路
人を殺したり家に火をつけたり、いろいろな悪事を働いて死後に地獄へ落ちた男は、しかし、生前に一度だけクモを殺さず助けてやったことで、地獄の底から脱出するチャンスを与えられた――。
芥川龍之介の小説『蜘蛛の糸』で、御釈迦様が大泥棒・犍陀多(かんだた)の前に御下ろしなさったのが、極楽に生息するクモの糸である。この糸をつかんで、極楽まで登ってきなさい、というのである。
想像を超えるほど頑丈な「クモの糸」
「クモの糸などで人が吊れるものか」と思うかもしれない。しかし、実際にクモがつくる糸は現代のわれわれが化学的に合成した高強度繊維に匹敵する強靱さをもっている。
防弾チョッキなどに使われるケブラー繊維は同じ重さの鋼鉄の5倍も強いとされているが、クモの糸は断面積あたりの強さでこのケブラー繊維に匹敵し、計算上、糸の直径が0.5ミリあれば体重60キロの人間を吊り下げることができるのだ。
血の池で浮かんだり沈んだりしていた犍陀多に見つけられた糸なら0.5ミリといわずそれなりの太さだったろうから、御釈迦様は決して考えなしにクモの糸をお使いになったというわけでもないのだろう。
クモは用途に合わせて複数の糸をつくり出す。強靱な糸、粘着性のある糸、弾力性のある糸等々、さまざまな性質や太さの糸をたくみに使い分けるのだ。
たとえば、ジョロウグモなどがつくる車輪のような形をした網を「円網(えんもう)」というが、放射状に張られた縦糸には巣を支える働きがあり、粘着性がなく非常に強靱だ。
一方、渦巻状に張られている横糸は、弾力がありベタベタする粘着球が無数についていて、獲物をキャッチすることができる。不運にも網にかかった獲物は、糸でぐるぐる巻きにされる。このときの糸は直径1000分の1ミリにも満たない極細糸で、ジョロウグモは一度に100本あまりを出して素早く獲物を包み込む。
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