これは「日銀がヘッジファンド化する」という批判を受けるであろう。だが、そんなことはない。むしろ理論的には正統派である。企業経営に影響を与えず、市場のセンチメントがおかしくなることを防ぐだけなのだから、センチメントに直接関係あるのは先物市場であるから、そこで売買を行うのは、リスクプレミアムへの働き方としては、直接的、正統的である。
私は、日銀が明日からETF、J-REIT毎日定額売却し、市場センチメントが崩れるようなことがあれば、先物を用いて株式市場のリスクプレミアムに働きかける。そのような政策を日銀に提案したい。
日銀が株売却の次に行うこととは?
そして、その次に行うことは、イールドカーブコントロールの“テーパリング”である。こちらは量ではなく、金利を直接コントロールしている。金融政策とは、金利を通じて経済に働きかけることであるから、これは長期金利市場を殺すという重大な副作用があるものの、政策としては本筋である。したがって、これを枠組みは維持したまま、テーパリングならぬ出口に向かって進めるのである。
それは、利上げ、つまり10年物金利をゼロ付近から、0.2%、0.5%と上げていくのが普通だが、これは利上げ、というインパクトを名実ともにもたらしてしまう。
今回のFEDのテーパリングの打ち出しで、最新の注意を払ったのは、「国債買い入れ量は減らすが、金利は上げない」というメッセージであった。つまり、この2つは別物であり「金利引き上げはより一層慎重に行う」というメッセージを繰り返し強く伝えることだった。
日銀も同じである。金利は上げない。その代わり、ターゲット年限を短くしていくのである。つまり、10年から残存期間9年の国債の市場利回りをゼロ程度に、とし、次は8年、7年、6年、5年としていくのである。
そして、最後には短期金利ゼロのみ、と金利政策において、正常化を図るのである。短期金利をゼロにするのがゼロ金利政策の核であり、短期金利操作は金融政策の王道であり、本来はすべてである。だから、これこそが本当の正常化である。
そして、これにより、長期金利市場を少しずつ生き返らせるのである。10年物の金利がどのように動くか。それを丁寧に観察して、金融政策を調節していくのである。そして、これはアメリカのテーパリングからの同国長期金利の変動の動向と歩調を合わせるようにして、調節していくのである。
したがって、このイールドターゲット短期化政策は、今、FEDがテーパリングを始めるのに合わせて行うのが適切である。もちろん、アメリカに少し先行させながら、日本は後追いで良いのである。
「こちらもショックがあるのでは」という意見もあるだろう。だが、現実には、10年物の金利はゼロでくぎ付けだが、15年、20年の金利は市場で日銀の買い入れ額をにらみながらも一応生きている。したがって、まったくの断絶があるわけではない。生きている残存期間11年金利の市場から10年へと波及してくることになる。
ETFの売却、イールドカーブコントロールの年限の“テーパリング”、実際には短期化、この2つを日銀の次の政策変更として提案したい(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が競馬論や週末のレース予想などを語るコーナーです。あらかじめご了承下さい)。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら