なんといっても、日銀がまず第1に、誰の目から見てもやるべきことがある。それはテーパリングである。しかし、それは国債ではなく株である。「上場株式の買い入れ」という百害あって一利なしの政策をとっているのだから、即刻これを止めるのである。ETF(上場投資信託)、J-REIT(上場不動産投資信託)のテーパリングである。
日銀はただちに少額でいいから株を売却せよ
これは誰もが賛成するはずだ。とにかく株価を高くして儲けたいという仕手筋のような投機家以外は賛成するはずである。
そこで、テーパリングだけでなく、さらに踏み込んで、即時、売却を開始するのである。
日銀は株を持つべきでない。また株式市場は今大暴落の底にあるわけでもない。また、世界的に株式は上昇局面にあり、日本株は相対的に鈍いとはいえ、ゆるやかな上昇基調にはある。ここで売らずにどこで売る。明日にでも、日銀が株の売却を始めるのである。
ただし、それは本当に需給に影響を与えないほどの小規模で行う。例えば1日10億円程度ではじめる。これなら年間でも2000億円程度であり、ほとんどインパクトはない。
もちろん、このペースでいけば、売却終了に30年もかかってしまう。それでもいい。売らないよりはましだ。そして「日銀が株を売る」というニュースのインパクトはかなりあり、株価は一時的には大幅に下落するだろう。だが、それは一時のショックであり、その後は止まるだろうし、相場が上昇基調なら、緩やかにそのショックによる下落分は回復していくだろう。その後は、1日当たり15億円、20億円と売却額を少しずつ増やしていけばよい。
しかし、株式市場関係者、そして株価を異常に気にする官邸は、強く懸念を持つだろう。「需給には影響なくとも、そのニュースインパクトでショックを与えてしまう。だから、やめろ」と。
この政策の問題点は、ニュースによりショックが起こる可能性がある、という1点に尽きる。それならば、対策を採っておけばよい。
それは、現物のETFは相場状況によらず、淡々と一定額売っていくのだが、相場のセンチメントが大きく揺らぎ、株式市場のリスクプレミアムが異常に大きくなった場合には、そのときこそ、買い入れを行えばよいのである。そして、それは企業経営にひずみをもたらさない、議決権などガバナンスをあいまいにするという副作用をなくすために、日経平均、TOPIX(東証株価指数)先物を売買することにすればよいのだ。
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