「クルマと防災」がDX化すると何が起こるのか コネクテッド技術で急速に進化する災害対策
「クルマと防災」について、根本的な発想が変わるかもしれない。
現状では、クルマを使った「避難時の移動方法」や「避難所での過ごし方」、また被災した住居を復興する際の活用法など、自治体や自動車メーカーが示す提案は限定的だ。また、災害対応は、あくまでも個人の判断で行うのが“たてまえ”であった。
こうした状況に大きな変化を及ぼすのは、コネクテッド技術を使った「クルマと地域社会全体」とのデータ連携だ。
この分野について、自動車や通信の業界団体の中から具体的な動きが出てきた。コネクテッド技術の具体例に触れる前に、災害時でのクルマの利活用について俯瞰してみよう。
災害時のクルマ活用4つの段階
災害には地震、津波、台風、豪雨による川の氾濫や土砂崩れなどさまざまあるが、近年は全国各地で多発する線状降水帯による豪雨への対応が急務となっている。その中で、豪雨対応の避難に関しては、次の4つの段階があると筆者は思っている。
(2)避難の最終準備から、実際の避難を行う段階
(3)避難所で過ごす段階
(4)避難所から帰宅して被災から復興を目指す段階
この4段階で、特にクルマが重要となるのは(2)と(3)で、(2)の「避難を行う段階」では移動手段として、(3)の「避難所で過ごす段階」では、場合によってクルマが滞在する個室としてクルマが活躍する。また、(4)の「復興を目指す段階」では、臨時の電源車としての役割も考えられる。
中でも移動時については、日本自動車連盟(JAF)が、「台風・大雨時のクルマに関する注意点」をまとめており、事前にハザードマップで危険箇所を確認し、避難時はアンダーパスや川沿い、海岸沿い、急傾斜地の近くをできるだけ走行しないように注意喚起している。
また、冠水した道路での走行については、ユーザーテストの結果を動画も交えて公開済みだ。
これを踏まえて、国土交通省は2019年11月に「水深が床面を超えたら、もう危険!~自動車が冠水した道路を走行する場合に発生する不具合について」という報道発表を行っている。
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