「クルマと防災」がDX化すると何が起こるのか コネクテッド技術で急速に進化する災害対策
車体の床面を基準としているのは、「排気管(マフラー)、またはエンジンの吸気口から浸水してエンジンが停止、また再始動しなくなるおそれがある」ためであるとしている。
また、水深がドアの下端にかかると、車外の水圧によって内側からドアを開けることが困難になり、ドアの高さの半分をこえると、車内からはほぼ開けられなくなると指摘する。
そのほかJAFの資料では、水圧によってドアが開かなくなった場合の対処法として、車内外で水位の差が少なくなったタイミングで、一気にドアを開けて脱出するという手段も示している。
非常用ハンマーなどでウインドを破壊して車外に出られない場合、徐々に車内に水が入ってきてもクルマはいきなり沈まないためだ。
緊急時にこうした冷静な判断ができるかどうか、日頃から“クルマに乗った状態で、もしもの場合”を想定した情報をしっかり理解することが重要となる。
なお、EVについては、日産は初代「リーフ」を発売して間もない2011年6月に、自社ブログで冠水路の走行実験動画を公開しており「万が一浸水しても、感電や漏電は起こらないよう設計している」と説明している。
むろん、冠水路での走行は電気機器に故障を起こす原因となるため、エンジン車同様に利用を控えるべきという考え方だ。
通信業界と自動車業界が連携して協議中
では、「クルマと防災」がDX化すると何か起きるのか。
現在、クルマで避難をするときの誘導支援、安否確認など災害時のクルマの利活用を、通信によるコネクテッド技術によって包括的に管理するシステムの議論が進んでいる。
代表的な事例は、一般社団法人 情報通信技術委員会(TTC)のコネクテッド・カー専門委員会が策定した、災害時の自動車を利用したICT(インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジー)の「V-HUB」である。
同委員会・委員長の千村保文(ちむら やすぶみ)氏によると、V-HUBの標準化を2014年に同委員会からアジア太平洋電気通信標準化機関に提案し、すでに「フィリピンやタイでいくつかの実証試験が行われている」という状況だという。
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