このように、パンデミック対応は感染症に特化した対策に限らず、感染症対策を講じながらワクチンの開発やパンデミックの影響を最小限に抑えていくオペレーションである。感染症という極めて特異な有事であるが、感染症対策はもとより、ロジスティクスや人的資源の有効活用など総合的な視点で政治を支える体制を整備して、多くの知見を活用して対応することが肝要である。
阿部圭史氏との出会い
今年1月、アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)の紹介により、阿部圭史氏に初めてお目にかかった。コロナ禍の中、翌日にはジュネーブの世界保健機関(WHO)に復帰するという。一体、私に何かお手伝いできることなどあるのだろうか、と思った。
しかし、『感染症の国家戦略』の元原稿を読ませていただき、そして、阿部氏の感染症の危機管理に対する問題認識や熱意を直接うかがい、“これは世に出すべきだ”とお勧めした。すでに本稿で述べたとおり、有事という軍事的な発想・知見を踏まえた上で感染症対策のキャンペーン・プランを確立する必要があると考えていたからだ。そして、阿部氏のように感染症対策の専門家であると同時に軍事作戦に通底するロジスティクスや人材育成の重要性を理解し、運用できる人材が日本にはもっと必要だと思ったからである。
本書が医療・政府関係者はもとより、多くの方々に読まれることを期待してやまない。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら