不正を黙認せず「忌憚のない意見」を言うべき理由 相手に信頼されるプロ人材の「インテグリティ」

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先日もある人からこんな話を聞きました。

最近、新しく上に来た副社長が、「ここに自分の考えが書いてあるから、読んで忌憚のない意見を聞かせてくれ」と言った。それで本当に忌憚のない意見を言ったら、副社長はかんかんに怒ったという。「忌憚のない意見を聞かせてくれ」と言いながら、自分にとって心地よい回答が返ってくることを期待していたのでしょう。

自分がクライアントや上司の立場ならば、コンサルタントや部下からの「忌憚のない意見」に感情的に反発するのではなく、まずは受け止める。それから建設的な話をする。

挑戦的なことを言われてもそれを受け入れられるのが、インテグリティのある人だと思います。

私が幸運だったのは、ブーズで繰り返し「(ポジションが)上の者は下からのチャレンジを許せ」と教えられたことです。何事もポジションを後ろ盾にした議論をするなということで、「チャレンジを受けたら、もっとよい案を出せ」とも言われていました。

「一緒にやりましょう」と言える共感力

コンサルタントとクライアントの関係では、クライアントに、厳しいことを言わないといけないこともあります。目指すものが成長であるにせよコスト削減であるにせよ、今までとは非連続なことをやるから効果が出るわけです。だから、クライアントには、その場では納得してもらえなかったとしても、「もう1回話を聞きたい」と言ってもらえる関係をつくることが重要です。

コンサルタントというと、頭脳明晰であることが第1条件だと思われがちです。しかし、私が本当に重要だと思うのは、「正しいこと」を示す力ではなく「どうしたら正しいことがやれるか」を示して、「一緒にやりましょう」と言える力です。

クライアントに「変えてみませんか」と言うのは簡単ですが、彼らが何十年もやってきたことを、コンサルタントに否定されるのは愉快ではないでしょう。そのとき「諸外国ではこうですから」「ほかの産業ではこうですから」と理詰めで説明しても、到底受け入れられるものではない。

つまり、「今までやってきたことを変えなさい」と言われたときの相手の気持ちを「わがこと」として理解できるか。理解できれば「やっぱり簡単じゃないですよね。大変ですよね」と共感し、「どのあたりに抵抗を感じるのか教えてください」と言って、その感覚を共有しながら、一緒にそれを乗り越えていく。この「共感力」は非常に大事です。

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