不正を黙認せず「忌憚のない意見」を言うべき理由

相手に信頼されるプロ人材の「インテグリティ」

インテグリティのある人間の条件の1つに「信頼」があります。クライアントから見たコンサルタントは「トラステッド・アドバイザー=信頼される相談役」であるべきです。

たとえば二十数年間その仕事をしてきて執行役員になった人がいるとする。そんなときコンサルタントに未経験のことをするように言われた。うまくできないかもしれない。違うやり方をするのは、自分の過去を否定することになる……。そこには何かを失うかもしれない、という恐れがあります。恐れは本能的な警報なので、理性だけでは克服しきれない。

しかし、コンサルタントが「信頼できる相談役」であればどうでしょう。「あの人の言うことなら、信じてみようか」という気になるのではないか。

「最初のうちは嫌だったけれど、あの人たちと一緒にやっていたら、なんとなくうまくいきそうな気がしてきた」と思ってもらえること。それができるのが、トラステッド・アドバイザーです。

解のない連立不等式を解く

「どうしたら正しいことができるのか」を示すのは、答えのない連立不等式を解くことと似ています。学校の数学であれば、連立不等式には解があります。そして解のある連立不等式は、途中で計算さえ間違えなければどんなに難しくても解ける。しかし現実のビジネスにおいては、連立不等式を満たす解の領域がないことも多々ある。

たとえば、ある顧客の要望を満たさなければいけない。しかし自社のある部門はその要望を満たすために必要な方法に反対している。こんなとき、「解がないから解けません」と言うだけでは、コンピューターと同じです。人間がやるべきは、解のない連立不等式を解くことです。

解のない連立不等式を解くなんて、できないと思うかもしれません。しかし、いくつかの不等式のどこかの部分を変えれば、解を求められるようになる。つまり、「ある部門が反対している」のであれば、その部門の反対の理由は何かを突き止めて、「どうやったら納得してもらえますか」という話をする。

クライアントを動かすことで、解がないように見えた連立不等式も解けるようになるのです。

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