2023年にネット広告の精度が「ガタ落ち」する理由 訳もわからず「クッキーに同意」することも減る

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クッキーレス化で「ゲームのルールが変わる」ことをご理解頂けたであろうか。

本格的なクッキーレス時代を迎える前に、インターネット広告を活用する企業が取るべき方策は、サードパーティークッキーを使わない広告手段への早期かつ段階的な移行である。

その手段とは、「コンテキストマッチング」というインターネット広告の技術である。

コンテキストマッチングとは広告の先にあるコンテンツの文脈(コンテキスト)を把握して適合(マッチング)させることを意味する。コンテキストマッチング広告は、広告と広告の掲載先、広告によって誘引するサイトとの相性を分析して、広告主の希望するターゲットにマッチングする手法である。広告および広告が露出するコンテンツ(記事やコラムなど)と、広告によって実際に誘引されたサイトのテキスト情報を分析し、興味・関心でユーザをグループ化する。

たとえば、ダイエットの記事を読んでいる人が、記事で「食事」「糖質制限」といったワードを目にするときに、「オートミール」などの広告を表示させるといった手法だ。

「従来手法」との併用も有効

コンテキストマッチング広告を出しながら、自社商品・サービスのマーケティングやブランディングに必要な情報を独自に把握して、インターネット広告や自社サイトの企画立案に活かせる体制を確立するのも一手だ。

また、従来のアンケート情報など、ユーザから使用許諾を取った社内外のデータと組み合わせて自社で分析することで、インターネット広告や自社サイトの更新などにタイムリーに活用することも必要だろう。

インターネット広告業界の「大激震」から受ける負のインパクトを、最小限に抑える備えを始めるのは、早いに越したことはない。

広瀬 安彦 野村総合研究所 エキスパート研究員

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1972年、三重県四日市市生まれ。慶応義塾大学文学部卒、青山学院大学社会情報学研究科にて博士前期課程、北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院にて博士後期課程を修了。大手印刷会社を経て2001年に野村総合研究所に入社。専門はインターネットによる広報戦略、データサイエンティストの育成、M-GTA(Modified GroundedTheory Approach)を用いた質的研究。明星大学経営学部非常勤講師、日本生産性本部 経営アカデミー講師。「NRIデータサイエンスラボ公式YouTubeチャンネル」で情報を発信中。

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